第8号 2003.1.29発行


産業懇談会4グループ合同「代表幹事の講話」および「新年会」を開催

1.日 時:1月20日(月) 17:30〜20:00
2.場 所:ウェスティンナゴヤキャッスル 2階
3.参加者:講演会45名、懇親会48名

 恒例の4グループ合同新年会が開催された。

始めに、本会を代表して火曜G世話人代表の竹田印刷 各務社長より、「2005年には愛知万博開催、中部国際空港の開港というビッグイベントを控え、東海地区は活力でみなぎり、今年はよい年になるのではないか。急激な変化にも迅速な対応で臨みたい」との挨拶をいただき、続いて磯部代表幹事の講話が始められた。

◇ 磯部代表幹事の講話

「グローバル化と今後の経営〜自身の海外駐在経験を振り返って〜」

1.昨今の「グローバリゼーション」に関して
ベルリンの壁崩壊に伴う社会主義経済の終焉後、中国の14億人も含めると21世紀の新しい市場規模は従来の約2倍に膨張したが、これは「市場の拡大」よりも低賃金の国々の市場参入による「競争の激化」を招いた。その結果、デフレの直撃を最も激しく浴びたのが日本だが、問題は、地盤沈下にある日本で構造改革が進んでいないこと。まさに危機感がない証左であり、これでは改革は難しい。かかる状況下、産業界が活路を見出すには、一般普及品は途上国に任せ、日本は高付加価値製品への特化を積み重ねるという棲み分けが急務であろう。また、グローバリゼーションの特徴として、「システム」「ルール」の世界的な均一化があるが、多民族国家の米国は、「標準化」に向けたシステム作りに長けており、「世界標準」に対応しやすい、米国標準が世界標準となる可能性も大きいことを我々は認識せねばならない。

2.自身の海外駐在経験を振り返って
米国駐在経験は3回、通算15年半。1回目(1966〜72年。シカゴ→ピッツバーグ→ニューヨーク)は、脆弱な送電線網に起因するニューヨーク大停電に端を発したガイシ需要急増という好機が訪れ、ビッグビジネスを実現できたことが印象深い。また、TVA(テネシーの国策電力会社)と民間電力会社の反目を目の当たりにし、米国では政府と産業界のベクトルが必ずしも一致していないことを学んだ。続いて2回目(1974〜79年。ニューヨーク→シカゴ・デトロイト)はビジネスの転機が訪れた。マスキー法成立を受けフォード、GM向けにビジネスを展開し、これが日本の自動車業界参入にも繋がった。更に特許係争にも直面し、米国の「訴訟社会」を経験した。最後の3回目(1985〜89年。ボルチモア)では、GEの碍子会社を買収した際、付随してきた労働組合の硬直性に遭遇し、労務対策を通じて米国の労働組合の強さを痛感した。一方、当時の米国では「日本的経営」へ熱い視線が注がれており、「カイゼン」「カンバン」といった日本の経営手法を米国企業が取り入れた時期でもあった。

駐在経験を通じて感じた米国の魅力・強さ、それは、一つは新しいものを受け入れる精神。新規の商売相手にも門戸を広げる寛容性である。もう一つは異文化への包容力。英語が下手な相手に対しても「出来る奴は出来る」と認める考え方を持っているということである。最後はルールの遵守。エンロン事件後半年以内に企業統治法を成立させたような、国家意志の強さである。また、米国は「内なる国際化」を積極的に推進する国でもある。前述した日本的経営手法の研究や、雇用確保のため州知事自らが率先して行った海外企業の誘致等が具体例として挙げられる。

3.今後の日本が競争力を回復するために
「異質なものを受け入れる『内なる国際化』の努力が必要」ということ。例えば、海外の優良企業(研究機関、研究者)の誘致であり、外国人留学生の積極的な受け入れ・支援である。それらを具現化させるには魅力的な社会基盤の整備(規制緩和・撤廃、高コスト構造の是正、外国人向けの住環境・教育環境の整備等)も必要となろう。米国の「free entry」の精神を見習いながら、日本の強みでもある「ハイテク」と「伝統」を上手くミックスさせて若い世代を育て、競争力回復・国際社会における復活に邁進することが必要である。

◇ 合同新年会
岡部代表幹事より「来期は(筆頭)代表幹事として磯部代表幹事の後を引き継がせていただくが、格別のご指導・ご支援をお願いする。当会が、これからも盛大な会として続くことを祈念したい」と挨拶。続いて水曜第1G世話人代表の丸太運輸 村会長が乾杯の発声。「国の安全の問題は、自分達で守ることが重要だが、我々としても“地域”を強固にしていくことが大切」とコメント。新年の始まりにあたり、他グループとの懇親を深める絶好の機会となった。

宴もたけなわではあったが、木曜G世話人代表の丸菱工業 河村社長が、「今年は“ひつじ年”。ひつじは漢字で“未”と書くが、“未来”の“未”でもある。ぜひとも本年を未来へのきっかけの年にしたい」と中締めの挨拶。盛況裏に懇親会が終了した。


2月度産業懇談会開催日程<場所は名古屋観光ホテルです>
グループ名 世話人 開催日時 テーマ・スピーカー 場所
火曜グループ 各務芳樹
深田正雄
2月4日(火)
12:00-14:00
全国食品リサイクル事業協同組合 代表理事 伊藤時生氏
「食品の問題点と解決策を探る−自然界の法則に学ぶ−」
18階
伊吹の間
水曜第1グループ 村博三
岩部一好
落合 肇
2月19日(水)
12:00-14:00
株式会社メイアン 取締役社長 吉田達法氏
「スポーツで、もっと、幸せな国へ。Jリーグ百年構想」
18階
御嶽の間
水曜第2グループ 片桐清志
谷田利景
2月12日(水)
12:00-14:00
(株)エヌ・ティ・ティ ネオメイト名古屋 取締役社長 丹羽大三氏
「大きく飛躍するブロードバンド」
18階
伊吹の間
木曜グループ 河村嘉男
山本美知子
2月20日(木)
12:00-14:00
名鉄交通株式会社 取締役相談役 大島 弘氏
「タクシー事業の現況と課題」
18階
伊吹の間

【お知らせ】
産業懇談会メールマガジン配信について

メールマガジンの配信は無料ですのでが、配信をご希望でない方はお手数でも下記ボタンを押して、メールをご返信いただければ幸いです。ご意見などございましたら、そのメールにお書き下さい。


   メールマガジンの配信を ○希望しない


メールマガジン名称公募のお知らせ

当メールマガジンは、当初水曜第2グループで試験的に始まりましたので、仮称として「SUISUI」(すいすい)でスタートしました。現在全グループの参加が頂けるようになりましたのでこれを機に全懇談会の会員の方から正式な名称を公募いたします。永く親しまれる名前を是非ご提案下さい。
下記をクリックして送付して下さい。ご意見なども賜れば幸いです。

名称応募


【コラム】


〔苗字アラカルト〕 No.8

片桐 清志

『春』あれこれ

新春に因んで苗字の季節感を拾ってみた。春夏秋冬のうち苗字ではどの季節が一番好まれているのだろうか。手許の資料では春で始まる苗字は108種、夏が48種、秋が125種、冬が18種だ。僅差だが春は実りの秋に一歩及ばず2位だ。

季節感たっぷりの春の苗字では「春風」さん、「春菜」さん、「春駒」さんなどがある。残念ながら「春先」さんや「春分」さんは見当たらなかった。もちろん一字姓の「春」さんもいる。ついでだが、「夏」さん、「秋」さんもいるが「冬」さんはいないようだ。

変わったところでは「春夏秋冬」という苗字がある。これで「ヒトトセ」とか「ヒトトキ」とお読みするようだ。ご商売の家の額などでよく見る「春夏冬」さんはいないが、「春秋(ハルアキ)」さんと「夏秋(ナツアキ)」さんはいらっしゃる。


編集後記
21世紀も早や3年目を迎えた。愛知万博開催の2005年まであと2年だ。三段跳びに例えれば、ホップの段階だ。もういい加減に「古い上着にさようなら」し、元気いっぱいに駆け出したい。

今月の産業懇談会は恒例になっている磯部代表幹事の特別講演をいただいた。ご自身の海外駐在経験をもとに「グローバル化と今後の経営」をお聞きした。日本の競争力回復のためには異質なものを上手に受け入れ日本固有のものと融和させることが大切とのこと、まさに至言だ。

2月からまた各グループ別の懇談会が始まる。スポーツあり、ITありと多彩だ。ユニークな話を楽しみにしたい。(片桐)