第5号 2002.10.30発行


【巻頭特別寄稿】


「新幹線製造という匠の世界再現」

日本車両製造株式会社 
取締役会長  清水靖夫

昭和39年10月1日に開業した東海道新幹線0系の製作工程を記録したフイルムが、38年ぶりによみがえった。そのフイルムは当時、記録用に撮影されたが、一度も公開されることも無く、当社総務部の倉庫に保管されていた。

16ミリのカラーフフイルムで、36分もの。当社の先輩が、日本大学芸術学部に製造記録として依頼し、日大学生が中心となり、当社の蕨工場(埼玉県蕨市にあり、71年に閉鎖・今は豊川製作所に鉄道車輛製造は集約)の現場に入り丹念に撮影したものと判った。

あまり保存状態が良くなかったので,日大に相談に行ったところ,当時撮影した学生はそれぞれ要職についており、なつかしがり、その復元には大変協力的であった。

「職人芸の映像38年ぶり復元」という見出しで、中日新聞10月1日夕刊一面で紹介された。

このたび当社豊川製作所などの紹介を含めて、「夢の超特急」というタイトルでビデオとDVDを当社で売り出した。大変好評です。

鉄道車輛は鋼体も大きく、自動車などに比べ、同種車輛数としてはまとまらず、多種少量個別受注生産での生産体制であり、現在でも手造りの域を脱していない。

新幹線最新型700系電車(先頭部が鴨の嘴のよう)の先頭部も、アルミ50センチほどの切り板の曲げ加工したものを126枚溶接して仕上げていきます。溶接のベテランでなければ任せられません。電線も2万5千ボルトの電気をパンタグラフから受け、各種回線やら信号系統まで配線されるわけですが、よく間違えないで結線されるものだと,現場に立つと、感心してしまいます。電車1両分の電線を1本の延べ長さにすると13キロメートルぐらいになるとのことです。

まさに職人芸であることは間違いありません。トヨタのあるVIPが当社豊川製作所を見学され、そのあとのご感想はと聞いたところ「製造業の原点を見た感じで、バイタリテイがありますね」との答えで、誉められたのか、非近代的との指摘だったのか,判断に苦しむと、工場見学に同行した幹部はもうしておりました。

ただ工場見学などでは子供さん達は、間違い無くよろこぶことは確かです。地域社会への貢献も考え,1年に1回工場公開をすることにしていますが、大変な人出とあって,工場関係者は苦労しています。

今年は11月16日(土)を予定しています。


【近況速報】

(株)愛知塗装が(株)アイチテクノに社名変更


水曜第一グループの遠山堯郎です。いつもお世話になります。
会社設立25周年を機会に、社名変更をいたしました。
今までは、(株)愛知塗装で、塗装・防水・完成そっくりの未来写真を使ってのリフォーム工事を営んでいるのに、社名と内容が合致いたしませんでした。

新社名は、(株)アイチテクノ です。業務内容は全く一緒です。
社名もかわり、ドメインも変わりましたので、ホームページも全面改訂しました。
全部自作です。これから、修正と更新が始まりすので、大変ですが、是非、一度
我社のホームページへお立ち寄り下さい。今後ともご指導宜しくお願いします。

http://www.aichitechno.co.jp


14年10月度産業懇談会(火曜G)模様

1.日 時:10月8日(火) 12時30分〜14時
2.場 所:名古屋観光ホテル18階 伊吹の間
3.テーマ:「当社における海外ビジネス」
4.スピーカー:安井善宏氏(明治電機工業株式会社 取締役社長)
5.参加者:21名

◇スピーチ内容

1.はじめに
日本の製造業が大変心配だ。私のスローガンである「Supporting Industry Company」という姿勢で日本の製造業を支援し、もう一度元気になってもらう下支えを目指していかなければならない。

2.会社概要について
大正9年創業。当初はメーカーとしてスタート。昭和30年以降、アメリカからオートメーション流入を機に、それを支えることを事業として、先の経営者が商社へと会社の舵取りをしていった。昭和33年に明治電機工業に改組。それ以降は従業員持ち株会社となっており、オーナー経営者はいない。退職時には全株を返すことになる。一時預かりの大株主ということで、従業員がこの会社を自分達の手でつくり、自分の幸せは自分の手で勝ち取るという風土が長年に亘って醸成されている。

従業員数は426名(海外含み500名強)。売上は平成13年が355億、連結が約400億。バブル時は、連結で約460億あったが、「選択と集中」で、儲からない事業、将来やって収益の出ない事業については92年に全部やめた。生き残りのために何が必要か、明治電機が存在価値のある会社かを常々問い直している。自ら商社不要論を唱えながら、会社のあるべき姿というものを常に見つめていくという経営スタンスでやっている。

当社の拠点は、国内11、海外6、アメリカ5、イギリス1。好きなことには目標や夢をつくれるし我慢ができるが、嫌いなことは我慢もできない。だから、自分の嫌いなことに手を出してはいけないと常々思っている。

事業は、工場のファクトリーオートメーション(以下、FA)の仕事を主体。商社ではあるが、セールスエンジニアと技術屋約180名、顧客営業約180名。この業界でもSEが180名もいる会社は少ないと思うが、技術提案ができ、お客様のソリューションを解決していかなければ製造業を支えていくことはできないと思っている。製造業の原価構成の中における機械設備の減価償却は1番大きな課題でもあり、ここを支えていく事業である以上、これは使命でもあると考え、今後もエンジニアリング部隊の充実を図っていきたいと思っている。

3.海外でのビジネスについて
グローバル競争時代における日本の設備メーカーのあり方が問われている。95年以降、空洞化が進む中で、今後はナノテクやバイオを使った新しい技術革新がなければ我々モノづくりの業界も変わっていけない状況にある。

今までの日本の海外進出は、輸出産業としてコストを守るため、あるいは消費地生産や最適地生産という考え方があった。これからは、消費地でモノをつくることが課題になっており、それが現在の日本の製造業が空洞化していく背景ではないか。ただ、日本の生産技術は各社ごとに独特な生産管理の方法をとっており、そのノウハウを移転することは難しいのではないかというのが実感でもある。アメリカで生産技術のモノづくりをしようとすると、言葉の壁、文化の違いが大変大きい。日本であれば技術だけで先行していけるが、海外では技術×コミュニケーションということになる。しかし、コアマシンは日本から持ち込むということはこれからも基本的には変わらないであろうから、海外でのモノづくりを勉強して、日本で打ち合わせをするビジネスの形になってくるだろう。それができない会社は生き残っていけなくなるだろう。お客様も我々が育つのを待っていてくれる時代ではない。ハイスピードで解決するとなると、供給する側の我々は、グローバルな事情を理解していかないと明日はつぶれる会社になってしまう。

日本のモノづくりを支えてきた生産技術は今でも世界ダントツである。製造業を支える我々はもっと自信をもって、培った技術を改革し、お客様に提供することが使命だと再確認して、もう一度挑戦する必要があるのではないかということを肝に銘じながら経営をしている今日である。

[記者の一言]
安井氏からは、海外でのビジネスについて大変熱くご自身のお考え等をお話いただき、皆さんが熱心に耳を傾けられた1時間半であった。


14年10月度産業懇談会(水曜第1G)模様

1.日 時:10月9日(水) 17時30分〜20時30分
2.場 所:「湯〜とぴあ宝」
3.テーマ:「タクシー業界あれこれ」
4.スピーカー:森 博一氏(宝交通株式会社 取締役会長)
5.参加者:13名

今回は、笠寺にある「湯〜とぴあ宝」にお邪魔した。当日、会員さんがネクタイに背広姿で「健康ランド」を歩かれる様子に、少しばかり可笑しさを覚えつつお出迎え。ご用意いただいた2Fの会議室にて、宝交通?の森会長より「タクシー業界あれこれ」と題してスピーチを頂戴した。

◇スピーチ内容

1. はじめに
この「湯〜とぴあ宝」は、国鉄所有地を6000坪払い下げてもらったので、作ることができた。当時(昭和63年ごろ)は、バブルもピークを過ぎマンションにするには、広すぎるので、いろいろ知恵を絞った結果、時おりしも温泉ブームで広いお風呂に入ることが好まれていた。これからの高齢化社会、お年寄りにも受けると考え、宝グループとしては初めての取組みであったが、決断をした。

2. 50年ぶりの道路運送法改正
 タクシーは昭和28年に認可制となり、平成5年、運輸政策審議会にて「今後のタクシーのあり方」が答申され、平成14年2月1日より50年ぶりに「道路運送法」が改定された。規制緩和・自由化である。

平成12年には、すでにトラックが自由化を実施し、多重運賃となって値崩れを起こしている。このデフレの時代にタクシー運賃は高すぎるので、競争させて運賃を下げようということだが、タクシーは2種免許が要るなどコストがかかる。

これまでも、合理化策として車庫営業から無線営業、ガソリンからLPガス車、ジーゼル車、タクシー専用車種の開発、協同組合協業化(チケット、燃料購入、共済保険、金融など)等実施してきた。ところが、マイカーの普及、バス、地下鉄の整備によるタクシーの営業形態が変化により、昭和45年をピークに需要が減少し続けており、経営的にはなかなか苦しい中、自由化により一段と厳しさが増す。

3. 規制緩和の影響
現在、タクシー業界として、苦情処理、事故防止、福祉タクシー、乗務員登録、諸統計、年金基金、健保組合、名駅のりば及び市内タクシーのりばの整備管理等サービス向上に取り組んでいる。そして、タクシー料金が認可制から自由化され、名古屋にMKタクシーがやってきたことは皆さんご存知のとおりであります。タクシー業界では今、大阪が最も激戦区となっており、スタート料金メーターは、2?500円〜650円で、事後料金は割引枠に連動し、初乗8種類、全22種類に上っている。お客様にきちんとご理解いただけているのかは大いに疑問である。遠距離5000円割引制度も他社の追随によって実質値引きとなり、運転手の時間当たり収入は減少し、最低賃金を割るところがでてくるなど競争は熾烈を極めている。

4. 許認可事業に変化なし
 タクシー業界は、種々の役所がからんだ許可事業である。国土交通省−営業許可        (道路運送法、道路車両法、運用規則の資格者・運送約款が必要)。警察−二種免許所持者の採用(代行運転も同じ昭和31年制定21才以上)。総務省−無線の許可(波と資格者)。 経済産業省−メーター検定、車両保安基準。労働省−自動車運転業務に関わる法律。派遣社員(請負)運行管理代行等。

 運転代行は、地方の公共交通機関の整備されていない地方で、飲酒後の通勤等で流行したが、この6月1日の道交法改正を機に国土交通、警察共管で許可事業として法制化された。と同時に、二種免許も必要となり、試験も救急措置などで難しくなった。(タクシーも同じ)

地方分権の必要性が叫ばれているが、タクシー関係は地域密着でなく、完全に本省主導。相も変わらず縦割り行政の弊害と杓子定規の判断には苦労している。規制緩和が本当に効果のあるものになっているのか甚だ疑問だ。

5. 乗務員の確保の難しさ
 入社年齢46才平均という高齢化。土、日、祝、深夜の勤務。家族の反対。交通事故、違反の危険性と罰金の自己負担。客捜し営業から苦情、集金まで全て一人で責任を負う。オール歩合制、リース制。長時間労働と強盗などの危険性が高くなった。流しで拾えないため、辻待ち駅待ち空車が目立つ(時間当たり収入少ない)。

不況により収入も減っており、バスの乗務員の年収の半分程度の人も多い。年齢的にも高齢化してきており、年金をもらっている人も増えている。

このように、労働条件が厳しいため、3ヶ月もたない人も多く、長期の乗務員確保には難しいものがある。

6. タクシーは景気のバロメーター
 タクシーの乗客はピンキリで子供、婦人、老人、身障者、不具者、酔っぱらい等々お金の持ち合わせのない人、政治家、芸人、実業家と千差万別である。タクシー乗務員は耳年増であり、種々の職業の経験者や見たり聞いたり車内の話題にふれている。穴場情報などもお客様から入ってくることがある。

そんなことからであろうか、タクシーは景気のバロメーターと言われ、景気ウオッチャーに指名を受けている。事実、8月・9月の実車率は前年比を上回っていたが、10月にパタッと止まった。そしたら株価は9000円割れ。株・為替の動きが不思議に連動(昔は、芸者の数。今は、実車率)することが多い。

7. 最後に〜気持ちよくタクシーをご利用いただくために〜
まずは、常連と思われるように振舞う。「宝さん(名タクさん)○○まで」という言い方をするように心がける。また、乗ったらすぐに、チケットやカードが使えるかどうか聞くのもよい。

次に、近距離の場合は先に現金を渡すこと。できれば千円札一枚で。時に施し(の気持ち)をよろしく。また、流しのタクシーを拾っていただくのもいい。

そして、乗務員が最も嫌う言葉は、「運ちゃん」。「運ちゃん、○○まで」というのは大嫌い、時に拒否反応すら起こす人がいる。酔っ払って寝てしまう客も嫌われる。

[記者の一言]
スピーチが終わった後、森会長の粋なはからいにより、一同ひと風呂浴びて懇親会へ。次から次へと豪華な食事が運ばれお酒もすすむ中、あちらこちらで話の花が咲き、気がつけばすでに8:30を過ぎており、盛況のうちに散会となった。

森会長どうもありがとうございました!


14年10月度産業懇談会(水曜第2G)模様

1.日 時:10月9日(水) 12時30分〜14時
2.場 所:名古屋観光ホテル18階 御嶽の間
3.テーマ:「ディジタルエコノミーとエネルギー」
4.スピーカー:小笠原政教氏(?NTTファシリティーズエンジニアリング東海 取締役社長)
5.参加者:15名

◇スピーチ内容

1.はじめに
 私どもの会社は、NTTファシリティーズの東海エリアを担当する地域密着型の子会社として、本年5月スタートした。親会社は、建物の設計と電源関係の設計や保全をしている約6,800人の部隊がNTTグループから独立し、今年末で丸10年になる。今では、NTTだけではなく広く世の中の会社のお手伝いをさせていただいている。

さて、いわゆるIT革命の本質は、ディジタルエコノミーであると理解している。今日は、社会がディジタル化によって大きく変わったときに、エネルギーとしてはどういう準備をしなければならないかということをお話させていただきたい。

2.ディジタルエコノミーの進展
インターネットは、ドッグイヤーと言われるように、急速に普及した。アメリカでは、1995年〜2000年にかけて猛烈な勢いでIT関係の投資がなされたが、2000年に景気停滞があり、2001年からは完全にリセッションに入った。2000年中盤〜2001年にかけて、762件ものドットコムカンパニーの閉鎖があったが、IT革命によって出現したアメリカのベンチャー企業の数は7千とも一万とも言われており、762というのはその1割程度にすぎない。

日本はどうか。IMDのデータによれば、日本の総合順位の推移は1993年まではNO.1。ところが2002年の発表では、30位にまでなってしまった。シンガポール、香港、台湾、マレーシア、韓国などには追い抜かれ、中国もすぐ後ろまで追いついている。インターネット人口は、平成13年12月で5593万人。人口普及率44%。人口普及率データとしては、日本は世界で16位。NO.1はスウェーデン。アジアでは、香港、台湾、シンガポール、韓国に抜かれている。

もっとも、ブロードバンドについては、8月末のデータで加入者数は577万3千人。今でも毎月約30万から40万づつ増えており、どういうビジネスモデルで投資していくかというところが知恵の使いどころだと思う。

3.コンピュータ・チップの進化

さて、コンピュータの心臓部は、いわゆるCPU(チップ)である。このコンピュータ-チップについて、1970年インテルのムーア氏(現名誉会長)は、「コンピュータ・チップの性能は1年半ごとに能力が倍増していく」(ムーアの法則)と言ったが、これがいわば開発目標となっており、インテルはそれをずっと実現してきている。しかし、問題は“熱”である。インテルが数年前に発表したPentiumというCPUは、約10W/?の熱が出ており、その発熱密度はまさにホットプレートである。「熱」というのは消費電力であるから、チップの中に組み込むトランジスタの数に比例し、かつ電圧の二乗で消費電力は増える。したがって、ムーアの法則に則って、どんどん新しいものを実現すれば、級数的に消費電力は増え、このままいくと太陽表面の温度ぐらいの発熱になってしまうと言われている。CPUの進歩はまさにこの“熱”との闘い、すなわちCPUの低消費電力化が勝負と言える。

4.IT施設における電源システム
ITにより社会全体のエネルギー消費が増加するか減少するかという命題は両面があり、難しい問題だが、少なくともIT施設においては急激な消費電力の増加が見られ、コスト面や地球環境からも大きな課題と言える。

また、ディジタルエコノミー社会では、電源の信頼度を十分確保しないと怖いことになると同時に、経済的にも大変である。アメリカでは、コンピュータを動かすための電源の信頼性は、稼働率(電力を供給しつづけることができる確率)で、「9が10個並ぶ信頼性が必要だ」と言われている。また、アメリカの公式研究機関が発表したデータによれば、停電により受ける年間経済損失は1,040〜1,640億ドル、つまり約10兆〜20兆の経済的な損失があるとのことである。それだけ電源の信頼性の確保が必要なのである。

5.交流(AC)から直流(DC)へ
電源には交流と直流があり、歴史的経緯からコンピュータには交流、通信システムには直流電源が使われている。今や、コンピュータと通信はハードウェア的には区別がつかなくなってきており、コンピュータの中は全て直流で動作している。現在コンピュータに無停電の電気(交流)を供給するために、交流電流を1回整流(直流に直す)し、電池に充電をする。そして停電時にこの電池の直流電流を取り出し、INV(インバータ)で交流に作り直して給電している。コンピュータが直流電源で動作すれば、電池に直流で蓄電しながら給電することができる。直流給電はこのように複雑な変換が不要でシンプルなことから信頼性が高く、かつエネルギー変換に伴う損失が少ないので効率的なのである。あるモデルで試算すると交流に対し直流の方が20%程の省エネになる。

従って、コンピュータと通信システムの電源を直流に統一していく方が、トータルのエネルギー利用効率や信頼性の向上が期待できるので、「直流電源の方がよいと」呼びかけている。

また、これからのエネルギーの供給源として注目されている燃料電池や太陽電池も直流であるし、電力貯蔵も直流である。こうした機器と「直流を電源とするコンピュータ」との組合せというのもこれからの面白いテーマであると思われ、効率的なエネルギー使用のシステムが実現できるのではないかと考えている。

6.エジソンよ、蘇れ!

そもそもエジソンは、「直流で電気を売る」ことを考えた。今、電気が交流になっているのは、テスラという交流推進派に負けたからである。これは、「電気を送ると必ずロスをするので、電流を少なくするため、高い電圧で送らなければいけないが、実際に使うときは、低い電圧でないと一般家庭用の機器には使えないことから、電圧変換が必要であり、当時の技術では交流の方がこの電圧変換が容易であった」からである。

ところが今の時代は、半導体で直流も交流も関係なくいくらでも処理ができる状態になり、直流のデメリットを克服できる技術が出てきた。無論、これまでの大きな交流の供給ネットワークを考えると全てを直流に変えてしまうことは難しい。しかし、コンピュータを中心とする設備のなかで、部分的にでも直流に置き換えることができれば、2割ぐらいのエネルギー消費を抑えることができるという試算もあり、地球環境問題からも意味があると考え、今一生懸命取り組んでいる。

[記者の一言]
小笠原氏からは、時間ぎりぎりまで丁寧なご解説をいただき、「ディジタルエコノミーとエネルギーの関係」そして、「直流による電力の供給」にまで遡って考える充実した懇談会であった。


14年10月度産業懇談会(木曜G)模様

1.日 時:10月10日(木) 12時30分〜14時
2.場 所:名古屋観光ホテル18階 オリオンの間
3.テーマ:「日本の心(伝統・智恵)で現代の諸問題(環境・健康・経営)の対応検討」
4.スピーカー:伊藤時生氏(全国食品リサイクル事業協同組合 代表理事)
5.参加者:16名

◇スピーチ内容

1.はじめに
 このところ、食べ物の安全性、雇用の不安、トップ層に対する不信等、各方面で問題が発生している。こういうことに我々はどう対応したらよいのか。私の独断と偏見ではあるが、いくつかの例を挙げながら、問題提起という形でお話したい。

2.健康について
1番大切なのは「食」。医食同源とも言われるように、昔の方は「食」に重要性を置いていた。現在では、かなり様変わりをしている。その端的な例として1977年にアメリカの上院、栄養問題特別委員会が食に関するショッキングなレポート(通称:マクガバンレポート)を発表している。

マクガバンレポートには2つの結論がある。1つは、癌や心臓病など、アメリカの6大死因の病気は現代の間違った食生活が原因となって起こる食源病であり、食生活を改める以外に先進国民が健康になる方法はないということ。もう1つは、現代の医学は薬や手術に偏りすぎており、そのことに問題があるということ。

現代の食生活による欠陥とは何か。まず、動物食品や脂肪、砂糖の過剰、食物繊維の不足。そして、ビタミンやミネラルの不足やアンバランス。つまり、かつての日本人の食生活が1番よいということだ。いろいろ調べた結果、マクガバンレポートよりもっと進んだ提案を日本人の智恵・伝統は教えている。日本の食には「1.危険なものは口にしない 2.腹八分目 3.旬のものを食べる 4.地場で獲れたものを食べる 5.五穀豊穣」という5原則があった。足りないものはいろんな形で補われる。そういう意味で、この5原則は大切なことを教えている。

日本人の伝統的な智恵で私が注目しているのは、手間ひまをかける重要性など心を注視する考え方である。おふくろの味と言われるが、子どもが健康に育つようにと母親が心をこめて料理することからそう言うのであろう。また、食事をするときの「いただきます」には、作物なり動物の命をいただく、そして自分の命を生かさせていただくという意味があると言う。ものと心を踏まえて、それぞれの相乗効果で智恵をつけるという日本人独特の考えである。こういう考えで問題がすべて解決するとは思わないが、もう一度思い起こす必要があるのではないか。

2.環境問題について

作り過ぎが問題であり、その後始末をやってこなかった。21世紀の環境問題の課題は、20世紀における過剰生産の負の遺産を清算することである。

農業にはいろいろな農法があるが、最近では光触媒や光合成の菌、いわゆる微生物の力を借りて浄化をするということがある。クロレラと同じ種類の植物、藍藻は地球の創世記からあるもので、農地の浄化にどれだけ働くかとか、それによって食べ物のおいしさがどれぐらい変わってくるかなどの実験がなされている。私は、藍藻の力を借りれば少なくとも環境問題はある程度の解決ができるのではないかと期待している。

人間には自己治癒力がある。医学によれば、もともと持っている自己治癒力が、不自然なものをとることによってどんどん弱まっているらしい。だから、できるだけ自然なものをとって自己治癒力をあげなければならない。ところが最近の売られているものには、表示の偽りなど問題が多く、疑心暗鬼の状態になっている。そこで私も、自分の食べるものは自分で作るしかないと決心し、この4月から週に1回、下山村の特農家に丁稚奉公に行っている。いろいろな体験を通して、農業の大変さを痛感しているところである。1番やってよかったと思うのは、本当の空腹を知ったこと。本当に空腹になると、自分にとって今1番必要なものが何かわかるものである。近頃は何かにつけ便利な世の中だが、便利さばかりに向かうのはいかがなものかという気がする。

3.日本の心、日本の智恵について

私どもは忘れてしまっている「日本の心」を外国人は非常に評価している。日本人はもっと自信と誇りを持つべきだ。ディズニーはもっとも日本人を評価している1人である。江戸時代の人と人との関わり合いをもとにマニュアルをつくり、日本人はそのマニュアルをTDLで使った。TDLではそのマニュアルをどんどん改版し、それがパリのディズニーランドで使われている。

もう一つ、日本の智恵を使って成功しているものに、赤福がある。赤福では、台北に「タウタウ」という中華料理の店を出した。台北という中華料理の本場で、日本から行った「タウタウ」がなぜ1番になることができたのか。それは日本の智恵、サービスを活かした店づくりであった。

[記者の一言]
懇談後、伊藤氏からの問題提起に対して次々とご意見や質問が飛び出し、しばしディスカッションの時間となった。最後まで大いに盛り上がった懇談会であった。


11月度産業懇談会開催日程<場所はナゴヤ観光ホテルです>
グループ名 世話人 開催日時 テーマ・スピーカー 場所
火曜グループ 各務芳樹
深田正雄
11月12日(火)
12:00-14:00
(株)日立ハイテクノロジーズ 理事支店長 遠田勝信氏
「ナノテクノロジーが生みだす芸術の世界」
18階
伊吹の間
水曜第1グループ 村博三
岩部一好
落合 肇
11月27日(水)
12:00-14:00
三機工業(株)名古屋支店 取締役支店長 川角喜一氏
「OAオフィス引越の神業(リロケーションエンジニアリング)」
18階
伊吹の間
水曜第2グループ 片桐清志
谷田利景
11月13日(水)
12:00-14:00
(株)モリシマ 取締役社長 深田正雄氏
「血液は語る!」−バイタルチェックで見ればわかる貴方の健康−「未病予防について」
18階
御嶽の間
木曜グループ 河村嘉男
山本美知子
11月7日(木)
12:00-14:00
池田歯科 院長 池田篤子氏
「よく噛むことは癌予防とボケ防止」「審美歯科」
18階
御嶽の間

【お知らせ】
産業懇談会メールマガジン配信について

メールマガジンの配信は無料ですのでが、配信をご希望でない方はお手数でも下記ボタンを押して、メールをご返信いただければ幸いです。ご意見などございましたら、そのメールにお書き下さい。

   メールマガジンの配信を ○希望しない

メールマガジン名称公募のお知らせ

当メールマガジンは、当初水曜第2グループで試験的に始まりましたので、仮称として「SUISUI」(すいすい)でスタートしました。先月号から各グループの参加が頂けるようになりましたのでこれを機に全懇談会の会員の方から正式な名称を公募いたします。永く親しまれる名前を是非ご提案下さい。
下記をクリックして送付して下さい。ご意見なども賜れば幸いです。

名称応募
【コラム】

〔苗字アラカルト〕 No.5

片桐 清志

『同友会の最大勢力は?』

先日、中部経済同友会の名簿が送られてきた。新しい名簿を手にすると自称苗字研究家の血が騒ぐ。早速、苗字のランキングを調べてみた。当会のトップ勢力は「鈴木」さんで23名とダントツの1位。2位は「加藤」さんの14名。3位は「伊藤」さんで13名。「小林」さんと「吉田」さんの9名、「山田」さん「山本」さんの8名、「佐藤」さん「渡辺(渡邊を含む)」さんの7名が後に続く。

ところで日本一の苗字はどれか?簡単なようで実は厄介な問題だ。厳密言えば正解はまだ判っていない。国勢調査結果を分析すれば正確にわかるはずだが国はそんなことは発表してくれない。したがって苗字研究家の格好のテーマとなり、いろんなサンプル調査結果が報告されている。

一般に知られている最初の全国ランキングは通称「佐久間ランキング(1964年)」で、鈴木、佐藤、田中、山本、渡辺の順となっている。その後コンピュータが漢字を扱うようになって生命保険の契約書等をもとにデータ分析が進むようになった。代表的なのは日本ユニバック(現在の日本ユニシス)の調査結果で260万余のサンプルを分析している。それによると佐藤、鈴木、高橋,伊藤、渡辺の順という結果が報告されている。最近ではインターネット時代を反映してホームページにも苗字ランキングがある。その一例「苗字館」では佐藤、鈴木、高橋、田中、渡辺の順になっている。

因みに愛知県に限ってみると、佐久間ランキングでは伊藤、加藤、山田、水野、渡辺の順で、「苗字館」では鈴木、加藤、伊藤、山田、山本の順だった。


新会員自己紹介(平成14年10月入会)

 中川 徹

昭和26年9月26日生

エヌ・ティ・ティ・コムウェア東海株式会社

名古屋市熱田区五本松町7−30
           熱田メディアウィング

代表取締役社長

 この度、シーキューブ(株)片桐社長にご推薦頂き、入会致しましたNTTコムウェア東海の中川です。新米社長ですが宜しくお願い申し上げます。以下に自己紹介、会社紹介をさせて頂きます。

出身地  京都市
(よく公家っぽい顔をしていると言われますが、公家とは縁がなく、祖先は新撰組の兄弟です)
過去の勤務地 入社以来、首都圏、東海、関西を行ったり来たりしており、名古屋の勤務は3回目、通算7年目になります。
現住所 先日、2年3ヶ月いた金山の単身社宅から八事・滝川町へ引越しました。
11月からは妻と犬が同居します。
趣味 囲碁(二段〜三段くらい)、 ゴルフ(いまだ修行中)、飛行機(少年のロマンを今も・・・)
抱負 中部圏ではまだまだ新規参入組の会社であり、私自身新米社長ですが、同友会をはじめ、地域の交流には積極的に参加させて頂きたいと思っています。ITによるビジネス改革のお手伝いを通じて、地域経済の発展に少しでもお役に立てれば幸いです。

会社概要
社名 エヌ・ティ・ティ・コムウェア東海株式会社
所在地 名古屋市熱田区五本松町7−30 熱田メディアウィング
資本金 2億円
社員数 500名
創業 平成14年10月1日(母体はNTTコムウェア東海支店)
事業内容 情報通信システムのコンサル、開発、運用、保守
同業他社と比べた特長(強み)は以下の4点です。
(1)通信NWに関する高度な技術力(VOIP等)
(2)広範囲の技術分野をカバーするトータルソリューション
(3)コンサルから保守までの一貫したサポート体制
(4)ハードウェアに制限されないマルチベンダ

E-Mail: nakagawa.toru@nttcom.co.jp
URL: http://www.nttcom.co.jp/nttcomwaregroup/
  これまではNTT向けシステム開発を中心に行ってきたため、  開発・運用部隊中心の組織編成でしたが、今後はNTT外のお客様向けに事業をシフトするため、営業、コンサル部隊の強化を図っているところです。

編集後記

いよいよ当メルマガにも巻頭言が登場した。清水靖夫特別幹事(日本車両・会長)から新幹線車両製造のエピソードを投稿いただいた。世界に誇る日本の技術とそれを支える職人芸を紹介いただいた。今後も同友会会員各氏に巻頭言をお願いする予定だ。読者諸氏もご協力願いたい。

水曜第一グループの遠山会員からは掲示板に社名変更(新社名:アイチテクノ)の原稿をいただいたので当メルマガにも掲載させていただいた。今後も会員の近況報告にご活用いただきたい。

10月17日に高松で開催された第60回西日本経済同友会大会に参加した。宇高連絡船時代の高松とは大きく変貌した駅周辺の風景に目を見張った。「新世紀・経済社会の新たな構築」〜国・地域・企業に求められる統治能力の確立〜と題して熱い討論が繰り広げられた。その後の懇親会では海の幸と讃岐うどんに舌鼓を打つと共にあんこ餅の雑煮の珍味も味わってきた。高松の皆さんの心こもったおもてなしに感謝感激。次回の米子(鳥取県)も是非参加したい。(片桐)


back