産業懇談会【メールマガジン 産懇宅配便】 第191号 2018.4.27 発行

メールマガジン■産懇宅配便■

平成30年4月度(第191号) 目次
【30年3月度 産業懇談会(水曜第1G)模様】
【30年4月度 産業懇談会(木曜G)模様】
【30年4月度 産業懇談会(火曜G)模様】
【30年4月度 産業懇談会(水曜第2G)模様】
【30年4月度 産業懇談会(水曜第1G)模様】
【名古屋いちばん物語】 No.108
【新会員自己紹介】
妹尾 義之氏

株式会社構造計画研究所 専門役員 兼 名古屋支社長

小谷野 由紀氏

三菱商事株式会社 中部支社 支社長代理(兼)総務部長

【5月度産業懇談会のご案内】
【6月度産業懇談会のご案内】
【お知らせ】
【コラム】
コラム1 【保健師からの健康だより】 No.169
コラム2 【「ほん」のひとこと】 No.114
コラム3 【苗字随想】 No.191
【30年3月度 産業懇談会(水曜第1G)模様】

テーマ: 『 富士電機(株)三重工場 視察会 』


日  時:平成30年3月20日(火) 11時00分〜17時00分
場  所:三重県四日市市富士町1-27
参加者:15名

 今回は「富士電機(株)三重工場」の視察会を実施。初めに、本会会員でもいらっしゃる、富士電機(株)中部支社長の若槻滋氏にご挨拶をいただいた。その後、三重工場長の山本直樹氏より会社・工場概要の説明、TV放送「工場へ行こう」のビデオ映像を視聴後、工場見学を実施した。要旨は以下の通り。

1.会社概要・工場概要
 富士電機(株)は1923年の創業以来、エネルギー・環境技術をコアに、「パワエレシステム、発電、電子デバイス、食品流通」の4つの事業を通じて、安全・安心な持続可能な社会の実現に貢献。創業100年目である2022年に向けて“ドリーム1(1兆円企業)”を目指して取り組んでいる。
 三重工場は世界一の自動販売機工場として、国内/中国トップシェアを誇る自動販売機(缶・ペットボトル・カップ・食品)や、スーパーで使われている冷凍冷蔵ショーケースを製造しており、セブンイレブンのコーヒーマシンも当工場で生産している。またコジェネシステム、燃料電池、太陽光発電による電力の自給にも積極的に取組み、工場のスマート化により環境負荷低減を図っている。


写真1

 生産工程では1個流し、水すまし等のトヨタ生産方式を取り入れることでリードタイム短縮を図り、在庫を大幅に削減。品質を支える技術の伝承として多能工化・手順書の電子マニュアル化による熟練作業者の技の可視化、見せる化ボード、IoT・ロボットなどの自動化生産ラインの導入により、世界トップレベルの「ものづくり」と「クオリティ」を築き上げ、海外工場のマザー工場として競争力を高めている。

2.工場見学(カップフード自販機ライン、缶自販機ライン)
 自動販売機製造ラインの工程フローは、

  1. 材料(材料はコイル材で入荷され、アンコイラーで巻きぐせを修正して使用)
  2. 板金(材料はNCTパンチにより抜き加工された後、曲げ加工、溶接加工を実施)
  3. 塗装(ハンガーに吊り架けられた缶体は、クレーンに下げられて粉体塗料で自動塗装を実施)
  4. 組立・試験(冷却ユニットや料金収納ボックス、LED照明や断熱材を組み込み、検査を実施)

と材料から自販機の梱包・搬送までの一貫した生産体制を工場内で構築している。
 工場のショールーム化とともにスマート化(エネルギーの見える化・分かる化・最適化)への取組みを進めており、缶自販機製造ラインの電気消費量はこの15年間で約1/6へ削減することができた。

3.省エネ技術のショールーム工場
 今後の自販機市場は、省エネタイプへの置き換え需要が伸びていくため、夜間電力を活用して商品を真空断熱材で保温する省エネタイプ自販機やハイブリッドヒートポンプ自販機などの市場投入を拡大しており、三重工場は省エネ技術のショールーム工場としての機能も担っている。

写真2
【ショールームにて】

写真3
【集合写真】

                      

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【30年4月度 産業懇談会(木曜G)模様】

テーマ: 『 もうすぐ83才 現役社長が語る「生涯健康」の秘密!! 』


日  時:平成30年4月5日(木) 12時00分〜14時00分
場  所:名古屋観光ホテル 3階 桂の間
参加者:35名

スピーカー:
日置 達郎(ひおき たつお)
株式会社札幌かに本家
代表取締役

日置 達郎氏

■私の健康習慣
 健康を維持している私の習慣を例に、まずは健康に良いことを紹介したい。
 なんといっても、タバコは吸わない方が良い。死亡原因といえば、ガンや脳疾患、すい臓病など様々な病気があるが、ガンについてはタバコが主因だ。
 健康にとって良いイメージの野菜も、実は4月〜10月の「生の野菜」は推奨できない。いろんな農薬、微生物の汚物、ウィルス、虫のフンなどの影響を受けやすいからだ。私が夏野菜を食べる時には、まず水に4〜5時間つける。そして60〜70℃ぐらいのお湯でサッと茹でる。この方法なら、ビタミンや抗酸化力が損なわれず、酵素も働き、生野菜よりも食べやすい。
 晩酌もしない。ワインのポリフェノールは体に良いが、問題は防腐剤がたくさん含まれていること。お酒の代わりに、ブドウ液やアサイー、アセロラ、キウイなどのジュースを飲むことを心掛けている。結果、病気知らずだ。
 1977年のアメリカの研究資料「マクガバンレポート」を紹介する。当時の副大統領マクガバンが財政(医療費)の逼迫を招いた心臓病について、膨大な被験者のデータから調査を進めたものだ。そのレポートが示したのは、「数々の慢性病が肉食中心の食生活に起因する」ということ。そして最も理想的な食事は「精製していない穀物や、野菜・果物を多く摂ること」と指摘した。振り返ってみると、元禄以前の日本人の食事は、無農薬有機栽培の、玄米・季節の野菜・海藻・小魚といった、ビタミン・ミネラル・食物繊維・酵素が豊富に含まれるものであった。当時の日本食は世界一の健康食だった。

■ネアンデルタール人は、なぜ絶滅したのか?
 1990年にアメリカ国立研究所を中心とした「デザイナーフーズ計画」、何を食べるとガンの抑制効果を高めるか、調査する国家プロジェクトがあった。それによると一番がにんにく、キャベツ。他にはセロリやニンジン、トマト、ナス、ブルーベリーなど、全て野菜だ。肉を食べる老人は元気とは言うが、私は野菜中心に腹八分、三食きっちり食べるのが元気の秘訣だと思う。
 イスラム教で豚肉食がタブーなのは、先人の知恵ではないか。ブタにはサイトメガロウィルスが潜んでおり、帯状疱疹などの原因になる、それと、リトルウィルスは白血病を罹患させると言われている。また、ブタに限らず、殆どの哺乳動物にはトキソプラズマ原虫が潜んでおり、目に見えないところで伝染するから怖い。特に母体から胎児に移ると、子供の脳障害の原因となる。
 日本食を扱う調理場の舟形シンクは日本の知恵だ。シンクの中にまな板があり、汚れたら包丁もまな板も一度洗ってから次の料理に取り掛かる。肉を扱う際はとにかく衛生的に、そしてしっかり熱を通してから食べて欲しいと思う。我々はホモサピエンスだが、ネアンデルタール人は何故か絶滅してしまった。動物の肉を生で食べていたからではないか、というのが私の仮説だ。

■ガン予防と健康増進への助言20箇条

  • 禁煙       ガンの最大の要因。吸う人は家族も不健康に。
  • お酒       肝臓への負担が大きいので最大でも二合を目安に。防腐剤には要注意。
  • 脂肉       日本人は腸が長いので脂は少ない方が良い。
  • 乳製品      多食者には乳ガンのリスク大。免疫細胞の働きも弱める。
  • 食用油      特に日本の油は精油時にヘキサンを使っておりトランス脂肪酸を多く含んでおり危険。
  • 減塩       塩辛いものを常食しない。塩蔵食品や魚卵は高血圧を招く。
  • 添加物      加工食品には防腐剤や油分が多用されている。自然食品を食べよう。
  • 大気汚染    道路の粉塵や窒素酸化物を室内に入れないこと。
  • カビ        乾物や輸入ナッツに付着しやすい食品カビ「アフラトキシン」に注意。
  • ウィルス     胃がんの主因は「ピロリ菌」。トキソプラズマ原虫にも要注意。
  • 赤黄黒緑野菜 色の濃い野菜は抗酸化力が高い。
  • 玄米       ビタミンB1やミネラル豊富。脚気を防ぐ。
  • 果物       ビタミンC、ポリフェノール、テルペンで抗酸化力を得る。
  • 理想食      米・雑穀・野菜類・豆類・海草・椎茸類等の植物性食品を85%、魚・肉・卵類を15%くらいの割合で。
  • 抗酸化食    ビタミンA,C,D,Eでがん予防、ゴマ等の常食でアンチエイジング。
  • 海藻類      ミネラル・食物繊維が豊富。「かに本家」もモズクをたくさん提供!
  • 抗体・免疫力  天日干し椎茸や舞茸、カニ殻のキチン・キトサンも免疫機能を向上。
  • 体力増強    青魚、鶏肉、卵で良質なタンパク質を摂取。
  • 体機能向上   こまめに動こう。私も週二回のジム通い。
  • 素直さ      ガン予防に良いことは素直に受け入れて実践しよう。

■最後に・・・カニのパワーは長寿の源!!
 高たんぱく低脂肪で、タウリン・アスタキサンチン・キチン・キトサン・亜鉛が豊富。「鶴は千年、亀は万年」とも言うが、どちらも沢ガニを食べる生き物。カニをたくさん食べて長寿・壮健を目指そう。

※かに本家の揚げ物油には、高価な菜種の圧搾一番搾り油のみを使用し、トランス脂肪酸が含まれていない。その植物油を使用した「かに本家特製マヨネーズ」を1本ずつ頂きました!!

写真1


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【30年4月度 産業懇談会(火曜G)模様】

テーマ: 『 不動産業界の現状と、不動産の仕組みについて 』


日  時:平成30年4月10日(火) 12時00分〜14時00分
場  所:名古屋観光ホテル 3階 桂の間
参加者:28名

スピーカー:
服部 浩明(はっとり ひろあき)
服部殖産株式会社 
代表取締役社長

スピーカー:
中山 聡(なかやま さとし)
わくわく法人rea東海北陸不動産鑑定・建築スタジオ株式会社 (「不動産のしくみがわかる本」著者、東京大学医学部卒業)
代表取締役

服部 浩明氏

中山 聡氏


      

 当日は二部構成で、服部氏と親交のある、東京大学医学部ご卒業後、現在一級建築士、不動産鑑定士としてご活躍される中山聡氏をお招きし、ご講演いただいた。当日出席者には、服部氏から「不動産のしくみがわかる本」が配布されました。

<服部氏ご講話>
■通信技術者から不動産業へ
 名古屋生まれで、地元の名古屋大学大学院工学研究科を修了した後、電電公社の民営化第一号として新生NTT本社へ入社した。NTTでは、電気通信技術者としてスタートし、技術開発、国際会議、技術委員会の組成と運営等の功績によりNTT社長表彰を受賞するなど大変充実した社会人生活を送っていた。親族が不動産業を営んでいたこともあり、31才のときにNTTを円満退社して不動産業へと転身。ビル運営、不動産売買、仲介、管理、開発、ファンド等の不動産の全ての分野を統括的に実施してきた。
 その後2015年に、55才の時に服部殖産を設立し独立開業した。現在、社員・パート含め16名、全国の事業用不動産の売買、仲介、コンサルティング、ファンド等を中心に総合不動産業として、不動産に関するすべての分野を幅広く扱っており、時代の流れにフレキシブルに対応した不動産の先進的な業務を実施し邁進していきます。

■名古屋の賑わい
 名古屋駅〜栄界隈では、主だったところで81カ所の売買・開発が行われている。例えば、御園座、広小路第一生命ビル、三菱UFJ銀行の一時移転等々。全般的に地価も上昇基調で、若干バブルの傾向も感じる。賃貸オフィスも軒並み市況が上昇しており、通常の名古屋中心部のテナントが坪1万円とすると、ゲートタワーや大名古屋ビルは3万円前後でしかも満室、笹島のグローバルゲートも7割以上が入居している状況だ。ちなみに名駅近辺の新しいビルは、名駅以外の地域からの移転を呼び込んでいる。そのバーターとして、別の地域には二次空室が発生する筈だが、その空室も解消しつつあるような状況だ。
 インバウンドの増加も顕著だ。昨年のセントレア入国数は240万人。2年で1.6倍になった。ホテルも続々開業しており、17年以降、分かっているものだけで4000室以上客室が増えるそうで、これは既存の客室数の大体15%増とイメージ頂きたい。名古屋は、名駅を中心として栄地区の発展も期待できる。

 本日は、富山県より、一級建築士の中山聡氏にお越しいただいた。中山氏は私の知人で、東大医学部をご卒業し、現在は不動産業に携われている異色の経歴の持主である。皆様のお手元にお配りしている中山氏のご著書「不動産のしくみがわかる本」は、不動産について、この世で最もわかりやすく解説された本だと思う。中山氏より、最近の不動産業の実情をお話いただく。

<中山氏ご講話>
■医学部から不動産へ!?
 富山県出身で、大学は医学部。ねずみの新鮮な脳を取り出す作業での悪しき思い出もあり、いつの間にか、学校では医療費分析の方に進んでいた(笑)。
 その後、様々な業界を経て不動産と出会った。不動産はなんといっても取引金額が大きい。人間の欲望の境目は300万円にあり、300万円を超えると、人は「言っていること」と「やっていること」に矛盾が生じる。こういうところにも、不動産のおもしろさを見出した。

■最近のトピック「空き家問題」
 最近は空き家関係の相談が多い。80代の親世代からは「この先短いし、相続どうしよう。」
 60代の子世代からは、「この家相続してどうしよう。不便だし夏冬は厳しいし・・」。このような空き家問題を前向きにとらえたのが、著書「闘え、空き家術」だ。八重洲ブックセンターのノンフィクション部門で、ある週にベストセラー1位になったので、興味のある方は是非ご一読いただきたい。
 さて、不動産はややこしくない。断言すると「売る/買う」、「貸す/借りる」、「建てる/壊す」「耕す」しかない。空き家問題を例に考えてみたい。
 まず、空き家の維持費を掴んで欲しい。田舎の実家のような大きい家を前提とすると、年間で、固定資産税10万円、自治会4万円、庭の剪定10万円、瓦や外壁補修の大掛かりな工事を35年で割り戻すと1年21万円、その他偶発事象10万円、しめて55万円かかる。
 一方、空き家の使い途だが、大体の人は、最初思い出に浸って維持しようとする。だが、コストに気付いて、3年ぐらいで諦める。そうすると、次は賃貸しようとする。だが、古くて不便なので、家賃は入るかもしれないが、安くしか貸せないのが関の山。年間維持費とバランスしない。結局、お金に拘らず、煩悩を捨て、破格で売るのが肝要だ。必ず買い手は見つかる。

■バブルを見極める
 名古屋も景気が良いが金沢もインバウンドが好調。金沢のひがし茶屋街では、築150年の民家の賃貸が坪3万円だ。世界から見ると日本の土地は今では割安で、有名なところから買われる。まず東京から買われ、半年1年遅れで大阪・名古屋・広島・京都、次に札幌・仙台・福岡、最後に地方都市だ。
 この順序をまず押さえた上で、土地バブルの見極めについて判断基準のヒントを示したい。

  1. まず東京の相場を見よう。東京の相場の値下がりは要注意だ。
  2. 株式市場が弾けたら、その半年後に土地も弾ける。(換金のし易さから時期にズレ)
  3. 金利上昇は起こっていないか、金融機関の貸し出し姿勢に変化はないか。
  4. 最近のAIブームのような、新しい産業の盛り上がりが終わる時も要注意だ。

 このあたりを是非チェック頂ければ、と思う。


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【30年4月度 産業懇談会(水曜第2G)模様】

テーマ: 『 博物館明治村における保存の取組と意義
                        〜過去の技術をつたえる技術〜 』


日  時:平成30年4月11日(水) 12時00分〜14時00分
場  所:名古屋観光ホテル 2階 曙の間
参加者:41名

スピーカー:
木 英樹(たかぎ ひでき)
名古屋鉄道株式会社
取締役副社長

スピーカー:
石川 新太郎(いしかわ しんたろう)
博物館明治村
建築・施設・乗物担当課長(一級建築士)

木 英樹氏

石川 新太郎氏


 冒頭、木副社長よりご挨拶と明治村の概要をお話いただいた。

■ご挨拶〜明治村を身近なものに〜
 2018年は明治元年から150年。明治100年の時には「明治は遠くになりにけり」という言葉が流行ったが、遥かに遠くなってしまった。一方、明治村は昭和40年の開村から約50年経った。開村当時はまだ明治に対しイメージを持っている人、想いを持った人も多かったので、当時は年間100万人ほど来場頂いたが、最近は残念ながら50万人ぐらいに減ってしまったのが実情だ。
 明治は実に躍動の時代で、西洋文化を取りいれ日本風にモディファイしながら、色んなものを創りあげた時代だ。外国の文化をダイナミックに取り入れたのは天平時代以来だ。この時代の大変貴重な文化財が明治村には多数ある。今後、社会的意義をますます高めていくという意味でも、たくさんの人に身近なものとして来村いただきたいと思う。

 博物館明治村で建築・施設・乗物担当課長、一級建築士の肩書きをもつ石川新太郎氏より、明治村における文化財保存への取組みについてお話いただいた。

■きのうの明治
 明治村は、明治時代を主とする歴史的建造物を、「移築保存」し、展示する野外博物館だ。昭和40年というと高度成長期。日本の建築技術の粋を集めた日本初の超高層ビル「霞ヶ関ビル」が着工した。一方で昭和43年には、米国建築家の巨匠、フランク・ロイド・ライトの作品である旧帝国ホテルが取り壊された。そのような破壊と創造の時代に、保存を目的として明治村が開村したのは大変意義深いことだと思う。
 建築物が文化財の候補となる目安が、築50年。50年を超えたもので、国指定重要文化財の候補としてノミネートされている登録有形文化財が約1万件。さらに重要文化財として国の指定を受けたのが2456件だ。イギリスではこれが、なんと30万件を超えている。
 建築の保存の理想は、「現地保存」。しかし経済的には困難が伴うので、別の場所への「移築保存」という手法がある。一方、何も残っていないところから再現する「復元」、あるいは残っている部分を活用しながら文献等をもとに再現するのが「復原」。明治村は「現地保存」できないものを「移築保存」そして時に「復原」している。11件の国指定重要文化財は全て移築した後に国の指定を受けており、すなわち明治村に移築していなければ重要文化財級のものが消滅していたことを意味する。

■今日の明治
 静岡興津の港町から昭和46年に移築され、平成24年〜26年の保存修理を経て、晴れて国指定重要文化財に指定された坐漁荘(ざぎょそう)について紹介したい。西園寺公望公の別邸で、現在は駿河湾に見立てた入鹿池をのぞむ場所に在る。
 明治村開村から50年を超え、展示建造物は100年を超える。老朽化が進み、年々修理費が増加するなど、大きな節目を迎えている。坐漁荘も例外でなく、移築から41年を経て、瓦の劣化や床材の老朽化などで様々な問題が噴出した。保存・修理する上では、坐漁荘の建築に活用された過去の技術や技法を特定し、ワンランク上の建物として蘇らせることが求められた。例えば、移築時に発見された「揉み唐紙」については、蛍光エックス線分析などを活用し、製法や顔料を特定し、「復原」した。技術者が、建物の価値や過去の手入れの変遷を洗い直し、細部まで理解することで初めて、魅力を蘇らせ価値を発信することができるのだ。坐漁荘はそのモデルケースだ。

■明日の明治
 平成31年を目標に現在進行形で保存修理を行っているのが、長崎居留地二十五番館だ(登録有形文化財)。本館が明治22年、別館が明治42年の建設で、昭和41年に明治村に移築した。移築から50年を経て、こちらもやはり、雨漏り・瓦の落下・床の沈下・外装の落下など問題が噴出している。例えば、この建物は、瓦に漆喰が盛られているのが特徴だが、50年経った今、屋根瓦に亀裂などの破損が目立つようになり、全面的に屋根替えをする必要があった。また、技法の継承ということでは、和洋融合している建物の特徴をしっかり捉えた上で、細部の技法に目を配る。例えば、扉や鎧戸の塗装技法には杢目(もくめ)塗りが活用されており、現代の塗装技術で「復原」することが求められた。
 先日、南禅寺を訪れ、有名な琵琶湖疎水の煉瓦造の水路閣を見物した。実は20年前にも、外国人を連れていったことがあるのだが、全く喜ばれなかった。それが今では、たくさんの外国人見物客が群がっていた。このように、モノや文化財の価値は時代によって変容する。明治村のたくさんの建造物も移設から50年を経て殆どが修理の節目に差し掛かっているが、「価値が変容するものに、先行投資し適切な修理を行っていく仕事」、それが次の時代に受け継ぐための我々の使命だ。


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【30年4月度 産業懇談会(水曜第1G)模様】

テーマ: 『 (株)メイドー 三好工場 視察会』


日  時:平成30年4月18日(水) 12時00分〜16時00分
場  所:愛知県みよし市莇生町辰己山108
参加者:18名

 今回は、当グループのメンバーである(株)メイドー取締役相談役 長谷川款一氏にご企画いただき、同社 三好工場の視察会を実施した。
 冒頭、(株)メイドー 顧問の栄永昌幸氏にご挨拶をいただいた後、経営企画部の日高実紀氏より、会社・工場概要、ボルトの生産工程についてご説明いただいた。

1.会社概要・工場概要
 大正13年(1924年)に明道鉄工所として創業、昭和25年(1950年)に法人設立、1932年よりトヨタ自動車の協力工場となった。主な製品は、自動車の基本性能を支える部位に使用される高強度ボルト、その他冷間鍛造品を製造しており、主要ユーザーは、トヨタをはじめ、日野自動車、ダイハツ工業等のトヨタ関連メーカーである。海外拠点を含む年間生産量は20億本、(株)メイドー単体では年間12億本を一貫生産している。材料の受け入れから出荷まで、社内一貫生産に拘り、「良い品を安く早く」の完遂を目指している。
 国内に3工場(本社、藤岡、三好)を持ち、三好工場ではネジ部の直径が太い製品、コンロッドボルト等の重要保安部品を一貫生産している。製品を作り始めてから完成までの生産リードタイム24時間という大変高い目標を掲げ挑戦中であり、三好工場は、当社のモデル工場として位置付けられている。

2.ボルトの生産工程
 ボルト生産の代表的なプロセスは、以下の通り。

  1. 冷間鍛造(ボルトの軸部から頭部の形状を成型する工程。型と型の間に材料を押し込み成型)
  2. ねじ転造(ボルトのねじ山と谷を成型する工程。型と型の間を転がしながら成型)
  3. 熱処理(焼入れ・焼戻しを行い、鋼の組織を変え固く、粘り強くする工程)
  4. 表面加工(ボルトが錆びることを防ぐため、ジオメット液を表面に塗り、焼き付ける工程)
  5. 摩擦係数安定剤塗布(油や水に塗れても締結出来るよう、トルカー液という薬品を表面に塗る工程)

3.工場見学(ボルト生産ライン)
 概要説明の後、工場内を見学させていただいた。工場を入ると先ず目に付いたのは、「良い品を安く早く」という会社スローガン。「生産リードタイム24時間の達成」というゴール像が従業員に共有されている様子が伺えた。また同社は、デミング賞大賞受賞(2013年)やTPM優秀継続賞受賞(2016年)、トヨタ自動車品質管理優秀賞4年連続受賞などで有名だが、社内の至るところに、あっぱれボード、KYシート、QEシート、過去トラシート、変化点管理、創意工夫提案、3KY活動(気付き・考え・行動する)など、高品質を保証する取組みが可視化・仕組み化され、社風・文化として定着している点を目の当たりにした。

4.まとめ
 工場見学後の質疑応答では、デミング賞への取り組みを始めた経緯や、従業員にやる気を出させる秘訣、従業員とのコミュニケーション、手厚い福利厚生や、地域への貢献活動を通じて従業員の満足度を高めている点などをご教示いただいた。

 記念に、同社オリジナルの栓抜き(レクサスのボルト)と視察時に使用した帽子のプレゼントをいただき、大変有意義な機会となった。

写真1
【概要説明】

写真2
【質疑応答】

写真3
【集合写真】

写真4
【オリジナルの栓抜き】


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【名古屋いちばん物語】 No.108


テーマ: 『 「住吉の語り部となりたい」 シリーズ第85回 』

料亭つたも主人
深田正雄(栄ミナミ地域活性化協議会)

モージャー氏戦後写真と料亭蔦茂の黒塀

 モージャー氏が、第二次世界大戦後、GHQの文民スタッフ(civilian secretarial staff)として1946年4月〜1947年1月に日本に滞在した際、 東京、名古屋、広島等の全国各地で撮影した街頭風景や建築物のカラー写真304枚が国立国会図書館デジタルコレクションとして昨年末公開されました。
 昭和20年3月12日名古屋中心部の大空襲で焼け野原となり、その後、終戦16ケ月を経た栄ミナミの写真から、蔦茂旅館建設当時の界隈の写真を発見しました。

住吉写真1
モージャー氏撮影写真 国会図書館デジタル画像#86 中央のみトリミング

 昭和22年1月頃、焼け残った4階建ての中部配電ビル(現在・大津通中電ビル)屋上から北西の本町方向を撮影した雪景色の映像と思われます。中央右はGHQ司令部大和生命ビルが聳え、周辺に木造の新しい建物が建設されつつあります。 当時はアメリカ村建設が完了しつつあり、区画整理前で道路が明確となっていませんが、戦前の碁盤割を基本に道路が拡幅されつつある過程です。一番左の木造二階建て蔦茂本館、南の三蔵通りができる前で、まだ、塀や囲いがなく唯一の家が立ち2階からは名古屋駅ステーションビルが見渡せたと聞いています。 住吉通りと広小路交差点の富国生命ビルには戦争未亡人達の華やかな職場・キャバレー赤玉会館が入居し、南呉服町にはいち早く松竹映画館「ステート座」(現在・キング観光サウザンド栄町店)が建設されています。拡幅予定道路の反対側には、最初の喫茶店「茶ばしら」がオープンし、現在は立体駐車場「スカイパーク茶ばしら」として現存しています。

住吉写真2
松竹ステート座・映画館
デジタル画像#240
住吉写真3
ステート座通り挟んで喫茶茶ばしら、拡幅工事中
デジタル画像#162
住吉写真4
中村百貨店・S21年末開店セール、左はGHQ本部
元大和生命ビル:デジタル画像#165
住吉写真5
平松さわさん・50歳ごろ
提供:オリエンタルビル

 同時にGHQ本部東、現在の三菱UFJ銀行名古屋営業部には中村百貨店が開業してオープンセールの様子が撮られています。同店はその後、昭和29年に栄交差点の現在三越の場所に平松さんから賃借してオリエンタル中村百貨店と改称しカンガルーがキャラクターのデパートとなりました。その後、昭和55年に名古屋三越となりましたが、屋上には、わが国最古の「観覧車」とカンガルー人形が展示されています。

 蔦茂旅館は昭和21年末に7部屋で営業開始し、戦後の復興最初の宿屋として大繁盛、しかし、囲いもなく用心が悪いので黒塀の建築予定でしたが、本館開業で資金が枯渇、苦慮しておりました。当時、祖父・深田良矩の実弟胤次が須成深田家の後継ぎとして佐屋村の学校教員を務めたころ、 山田忠本家酒造の8代目山田忠右衛門さん子女の教師であったご縁で、新築祝いでお酒を馬車イッパイご寄贈いただきました。お店で使用するのは一部で殆どを「平松さわ」氏が仕切る闇市場(現在の名古屋三越周辺)で販売、隣に戦地から引き揚げてくる板場衆が天ぷら屋台をやりながら黒塀建設資金を調達したようです。山忠さんにはお礼に、多治見中学の教員であった祖母の弟が、教え子のいた東濃の亜炭採掘場から内津峠を越えて、燃料を馬車で佐屋村まで運んであげたと自慢げに祖父が話をしていたようです。

 それでも資金が足らず、徴用から隠し持っていた、大切なレミントンの猟銃を進駐軍将校に売却してやっと「ヒノキとシバ」の黒塀で完成、現在の面影となったとのことです。

住吉写真6
祖父・深田良矩愛はレミントン猟銃、戦災で全焼するも鉄砲だけは担いで逃げた、隠し保存していた。
店の黒塀建設のためにお宝を売却した悔しさを、何度も「正雄くん」に語っていました。

 黒塀の中庭には常緑樹・クロガネモチ、ヤマモモ、そして、もみじ・カエデ、棕櫚2本が樹齢100年となろうとしています。かつては栄周辺の街路樹は柳一辺倒でしたが、住吉通りは毎年4月中旬に満開となる街路樹のキクモモと黒塀とのコラボレーションが住吉の風情として名物です。キクモモに合わせるように、栄ミナミではオウカンサクラを南北に、オカメ桜を東西の三蔵通りに平成28年より町内地権者の協力で145本植樹して、毎年3月より「栄ミナミ早咲き桜まつり」開催とともに、花のある町としてイメージ創りをしております。

住吉写真7
つたも黒塀西、キクモモと緑の樹木の色合いが人気
住吉通りの初夏の風物詩
住吉写真8
南側の黒塀:もみじの緑とカエデの茶
左角が調理場で毎朝の出汁の香りが懐かしい

 黒塀の中心・南西角には調理場の煮方台がありますが、ここでは午前10時ごろから指宿からの「メジ鮪節」を引き、一番出汁をとる香りが通りにまで広がります。この香りは住吉の名物フレーバーとして、現在も通りかかる人々に憩いを提供しております。地元では“栄ミナミの3大フレーバー”ともいわれ、ほかに南大津通の「妙香園」のほうじ茶を煎ずる薫り、南呉服町の「いば昇」の蒲焼の匂いが名物「街の香り」でした。

 このような粋な黒塀・風情や出汁の香りも蔦茂創業館が移転する5月末までとなり寂しくなりました。

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【新会員自己紹介】

妹尾 義之氏
水曜第2グループ

妹尾 義之(せのお よしゆき)
株式会社構造計画研究所
専門役員 兼 名古屋支社長

【株式会社構造計画研究所】
〒450-6325 名古屋市中村区名駅1-1-1 JPタワー名古屋25F
TEL:050-5306-6985
URL:http://www.kke.co.jp/

 2018年3月より、(株)構造計画研究所 専門役員 兼 名古屋支社長として着任しました、妹尾義之と申します。(名字は、せのおと読みます。)昭和42年生まれ、丁度50歳です。東京工業大学 工学部 有機材料工学科を1991年に卒業後、工学の道には進まず演劇の道を目指し、初対面ながら西田敏行さんに相談して、幾つか老舗の劇団を受けました。当時、渡辺謙さんも在籍していた演劇集団「円」に研究生として入団しました。橋爪功さんや岸田今日子さんも間近で拝見しながら、一年間、必死に努力し主役も務めたものの、役者としては理屈っぽいということで、結局は挫折。心機一転、古巣の工学の道に戻り、(株)構造計画研究所に入所したのが1992年4月でした。技術畑を9年間歩み、黎明期だった携帯電話業界のシステム開発に関わり、オペレーションセンターで使われる監視制御システムを開発しました。その後、営業畑に異動し、日々外回りの経験を積み重ね、営業部門長やマーケティング畑も経て現在に至ります。有難いことに、2年前に多摩大学大学院MBAコースに、社会人大学院生として夜間通わせてもらい、素晴らしい先生方に御指導頂きました。論文指導教授の田坂広志先生には、2年間、一期一会の真剣勝負を学ばせて頂き、その実践のなかで成長させて頂きました。心から感謝しております。
 この春、名古屋支社に着任し、満開の桜に彩られた名古屋城を散策しました。丁度、正門と東門に「金シャチ横丁」がオープンした時でした。伝統・正統の義直ゾーンと、新風・変化の宗春ゾーンがあり、伝統と革新の共存が素晴らしいと感じました。構造計画研究所も、伝統と革新が共存しております。1956年創業、1959年設立なので来年で60周年を迎えますが、創業時の構造設計業務のみならず、自然環境や、社会・コミュニティの分野に対して、シミュレーション等の「工学知」を駆使して、社会課題の解決を支援するエンジニアリング・コンサルティング業務に取り組んでおります。
 1960年(昭和35年)に竣工した熊本城の天守閣再建計画に、創業者の服部正(まこと)が構造設計業務に関わりましたが、貴重な石垣に影響を与えないよう、当時の安全基準よりもさらに高い安全基準で、杭を地中深く堅い地盤まで打ち込み、重い鉄筋コンクリートの天守閣を支えるよう設計しました。2年前の熊本地震で被災された方に、謹んで哀悼の意を表します。残念ながら、石垣は崩れましたが、天守閣は健在でした。この真摯に工学知を活用するDNAは、今も我々の「伝統」の中に継承されております。構築物、自然環境、社会・コミュニティに対して、シミュレーション等を駆使しながら真摯に社会課題を解決することが我々の「伝統」であり、「正統」の理念です。
 対して、「新風・変化」の精神も忘れてはおりません。IoTが注目される今、構造物を扱ってきた当社らしいIoTは何かという視点や、インターネットやクラウドの汎用化や民泊などの潮流から、ドアのロックをWi-Fiで扱える世界初のWi-Fi型スマートロック「RemoteLock」を提案しています。他にも、東日本大震災の3.11における通信途絶の教訓から、東北大学と共同研究等を経て生み出された「スマホdeリレー®」を提案しています。通信が途絶しても、スマホからスマホへWi-FiやBluetoothを使って、バケツリレーのようにメッセージを送り届けるAdhoc通信技術です。高知市が南海トラフ地震対策として採用し、今年1月の訓練の様子が高知新聞に、また今年の3.11の特集として、朝日新聞の科学の扉に紹介されました。
 構造計画研究所も「伝統」と「革新」を大切に、工学知を活用し社会課題を解決する支援に取り組む理念を掲げ、その思いを ”Innovating for a Wise Future” のフレーズで表現しております。
 ものづくりの愛知は、知を愛するとも読めます。知を大切にする構造計画研究所も、名古屋駅に直結するJPタワー25階に移った名古屋支社をベースに、この地でしっかりと社会課題を解決するための御支援に、真摯に取り組んで参りたいと思っております。どうぞ宜しくお願い申し上げます。

株式会社構造計画研究所 専門役員 兼 名古屋支社長 妹尾義之 拝

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小谷野 由紀氏
木曜グループ

小谷野 由紀(こやの ゆき)
三菱商事株式会社 中部支社
支社長代理(兼)総務部長

【三菱商事株式会社】
〒450-6417 名古屋市中村区名駅三丁目28番12号 大名古屋ビルヂング17階
TEL:052-856-4003
URL:https://www.mitsubishicorp.com/jp/ja/

 はじめまして、この4月より三菱商事 中部支社 総務部に着任いたしました小谷野です。
 この度、産業懇親会の木曜グループに入会させて頂きました。何卒ご指導ご鞭撻の程よろしくお願い申し上げます。

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5月度産業懇談会のご案内
グループ名 世話人 開催日時 テーマ・スピーカー 集合場所
火曜グループ

富田 茂
広井幹康
深田正雄

5月8日(火)
12:00〜14:00
『ボストン美術館の至宝展 見学会』 名古屋都市
センター
14階
特別会議室
水曜第1グループ

淺井博司
足立 誠
落合 肇

5月16日(水)
12:00〜14:00
榊原建設株式会社 代表取締役 榊原 譲 氏
『建築あれこれ』

名古屋観光
ホテル
2階
曙の間

水曜第2グループ

片桐清志
大倉偉作
見祐次

5月9日(水)
11:30〜16:00
『MRJミュージアム・あいち航空ミュージアム見学会』
(定員到達したため申込を締切いたしました。)
名古屋観光
ホテル
18階
伊吹の間
(バス移動)
木曜グループ

河村嘉男
倉藤金助
田憲三

5月10日(木)
11:00〜16:00
『博物館明治村 見学会』 名古屋商工会議所
(バス移動)

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6月度産業懇談会のご案内
グループ名 世話人 開催日時 テーマ・スピーカー 集合場所
火曜グループ

富田 茂
広井幹康
深田正雄

6月12日(火)
12:00〜14:00
長瀬電気工業株式会社 代表取締役
屬 ゆみ子 氏
『ワインは世界の共通語〜つながる、広がる世界』
               *ちょこっとテイスティングあり
名古屋観光
ホテル
3階
桂の間
水曜第1グループ

淺井博司
足立 誠
落合 肇

6月27日(水)
12:00〜14:00
サッポロビール(株)文化広報顧問 端田 晶 氏
同 生産技術本部 製造部 マネージャー 野口 博志 氏
サッポロビール名古屋ビール園浩養園 見学会
『浩養園から遡る日本ビール産業史』
      (クラフトビール釜 見学、数種類 試飲あり)

浩養園
千種区千種
2-24-10

水曜第2グループ

片桐清志
大倉偉作
見祐次

6月13日(水)
12:00〜14:00
株式会社ベネフィット・ワン
執行役員中部日本営業部長 妻木 宏文 氏
『福利厚生のトレンドと、
       健康経営銘柄選定までの弊社の取り組み』
名古屋観光
ホテル
18階
伊吹の間
木曜グループ

河村嘉男
倉藤金助
田憲三

6月28日(木)
12:00〜14:00
『名古屋城本丸御殿 見学会』 日本料理大森
(名古屋
能楽堂内)

※見学会ご参加の方には詳細案内をお送りいたします。

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【お知らせ】

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コラム1 【保健師からの健康だより】 No.169
コラム【保健師からの健康だより】

株式会社 スズケン
保健師 稲垣 静香

『 筋肉強化のすすめ 』

 だんだんと暖かくなり、外に出かけやすくなりました。花粉症の方にはまだつらい時期かもしれませんが、外で身体を動かすにはちょうどいい気温ですね。

 運動を始めようとする際に「筋肉を強くするには、歩くといいのか」と聞かれることがあります。確かにウォーキングやジョギングなどの運動習慣がある人は、ない人と比べて足の筋肉量は多いです。ところが、歩くだけでは筋力「アップ」は望めません。なぜかというと、平地を普通に歩くだけでは強い筋収縮を必要としないからです。そのため、ただウォーキングやジョギングを続けていても25歳ごろから筋委縮(筋繊維の減少)は起こってしまうのです。

 筋肉1kgは、年間で2.6kgの脂肪と同等のカロリーを燃焼します。もし筋肉量が1kg減少したら、これまで、何もしないで燃焼されていたはずのものが燃焼されず、その分増加してしまいます。しかもこれがずっと続くので、年齢を重ねると肥満になりやすくなってしまうのです。ちなみに、筋肉量が低い肥満の人とそうでない人と比較すると、糖尿病は19倍、高血圧は2.3倍、寝たきりは6倍、発生率が高いという結果でした。

 加齢に伴う筋委縮を遅らせる最も効果的な対策は、運動で筋肉に負荷をかけることです。要は、少ししんどいと思う事をすることですが、普通の歩き方では筋肉の強化にはなりません。 でも、しっかり時間を割いてストイックな運動を取り入れようとすると、トレーニングの過酷さに耐えられなかったり、多忙さにかまけたりして、次第に続けられなくなってしまった人もいるはず。継続するコツは「普段の生活動作を見直すこと」です。例えば、歩く速度を速めたり、歩幅を広くしたり、階段や坂道を利用するなどで負荷を高めることができます。他にも、車より自転車、自転車より徒歩、エレベータよりも階段など、同じ距離の移動でも移動手段を自分の足に代えれば身体活動量は大幅にアップします。また階段は上がるよりも下りるほうが、効果が現れやすいとの結果もあります。これなら「短時間」「辛くない」「目的地に移動しながら運動」ができるので、続けやすいのではないでしょうか。
 早速今日から、会社や駅で始めてみませんか。

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コラム2 【「ほん」のひとこと】 No.114
コラム【「ほん」のひとこと】

株式会社 正文館書店 取締役会長
谷口正明

『 日本史のツボ 』
本郷和人著・文春新書

 「○○を知れば日本史がわかる」という表現で統一された章名の○○に入るのは、天皇・宗教・土地・軍事・地域・女性・経済の七つの言葉です。この七つのテーマごとに、古代から近世・近代までの大きな流れを捉えていく明快な通史です。
 「この七つのテーマは互いに深く関連し合っています。たとえば天皇という存在がなぜ鎌倉から江戸まで六百五十年を超える武家政権の下で続いてきたのかを考えると、土地制度のあり方にいきあたります。(中略)したがって、重要なポイントとなる事件や人物が、テーマごとに異なる視点、異なる切り口で登場します。それによって、歴史の奥行き、単なる年表上の出来事ではなく、立体的な存在感を感じてもらえたら」というのが著者の想いです。とても読みやすい本でした。

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コラム3 【苗字随想】 No.191
コラム【苗字随想】

片桐清志

苗字の地下鉄駅めぐり(3)

 前回に続いて、今回も苗字と名古屋の地下鉄の駅名の関係に着目してみる。前回は名城線を巡ったので、今回は鶴舞線の駅めぐりをしてみたい。
 鶴舞線は1977年(昭和52年)3月18日に名古屋の3番目の路線として、伏見〜八事間が開通した。翌年には赤池まで延長し、1979年7月には名古屋市地下鉄としては初めてとなる名鉄豊田線と相互乗り入れを開始している。相互乗り入れは、2003年3月には上飯田線が名鉄小牧線と相互乗り入れを行っている。
 鶴舞線の駅ナンバリングの1番は上小田井だ。上小田井という苗字はないが「小田井(オダイ・コタイ)」は苗字ランキング14000番台に実在する。庄内緑地公園と庄内通の「庄内(ショウナイ・ショウウチ)」は7800番台だ。浄心の苗字は見つからなかった。浅間町では「浅間(アサマ)」が4000番台だ。
 丸の内と同じ表記の「丸の内(マルノイウチ)」の苗字は非常に珍しく90000番台だ。類似姓では「丸ノ内(マルノウチ)」が44000番台、「丸内(マルウチ)」が13000番台にある。伏見は東山線で紹介済みだ。大須観音は「大須(オオス)」は11000番台だ。「観音(カンノン・カンオン)」の苗字も実在し、22000番台だ。上前津は名城線で紹介済みだ。鶴舞は苗字にも有りそうだが見つからなかった。しかし「舞鶴(マイヅル)」なら37000番台にある。因みに鶴舞の読み方は、鶴舞公園はツルマと読むが、駅名はツルマイだ。
 荒畑と同じ苗字「荒畑(アラハタ)」が8000番台だ。御器所(ゴキソ)は読み方が難しい。苗字の「御器所」は90000番台に見つかったが読み方はゴキドコロだ。川名は「川名(カワナ)」が1200番台にある。「いりなか」は名古屋市の地下鉄駅名で唯一のひらがな駅名だ。今は地名から消えたが交差点名には「杁中」の表示が残っている。苗字でも「杁中」は見つからなかった。八事は紹介済みだ。
 塩釜口関連の苗字では「塩釜(シオガマ)」が13000番台に見つかった。植田は同じ表現の「植田(ウエダ・ウエタ)」が250番台に、原も「原(ハラ・コウゲ)」が100番内の苗字だ。因みに美濃ルーツの原は源氏の末流だ。平針は残念ながら苗字には見つからなかった。駅ナンバリング20番目の終点赤池も、同じ表現の苗字「赤池(アカイケ・アカチ)」は1500番台だ。

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【平成30年4月号編集後記】

 先日、ある社会奉仕団体で「目から鱗が落ちる」話を聞く機会があったのでご紹介したい。お話をしてくれたのは(一社)ラ・バルカグループ(http://labarca-group.jp/)理事長の夏目浩次さんだ。夏目さんがラ・バルカ活動を思い立ったのは障害者の平均月給1万円という低さを知った時だった。この現状を障害者だから仕方ないと思わず、「顧客意識を持ち、働き、稼ぎ、自立する」店舗を作ることを目指した。補助金や寄付金に頼りがちな福祉事業の枠組でとらえるのでなく、資本主義の枠内で障害者の自立できる仕組みづくりへの挑戦を始めた。
 こうした活動に賛同してくれた仲間と共に、平成15年にパン工房をスタート、活動当初は多くの苦難に遭遇したがそれらを克服し、やがてNPO法人格の取得、社会福祉法人の設立、一般会社と福祉法人との連携「民福連携」の実践、平成24年には社団法人化し、今ではチョコレート菓子を主軸に全国展開をしている。もちろん各地の障害者団体との連携を図りながらだ。障害を持つ就労者の平均月給も15万円を実現しているという。
 福祉関係の話を聞くときにありがちな寄付金等の支援の呼びかけは一切なく、夏目氏は「久遠」というブランドで展開しているチョコレート菓子のサンプルを皆に配布し、味で勝負する方針を貫いている。実際に口にしてみるとそのチョコレート菓子に対する熱意が伝わってくる見事な味だ。その理由は製品化に当たってトップチョコラティエ野口和男を招いて指導を仰いでいることからもわかるように、福祉事業だからという甘えを排除した本格的な取り組み姿勢にある。ブランド戦略にもこだわり、現在の目標は日本のチョコレート市場の1%を目指している。
 夏目氏の掲げる理念は「センスある社会をつくる」ことだ。センスある社会とは「誰もが輝きながら生きていくことができる社会」、「どんな人に対しても、暮らし方、生き方に多様な選択肢が存在する社会」、「誰もがその暮らしを、豊かで面白い!と感じることができる社会」のことだと言う。「彼らは決して単なる弱者ではない。単なる社会貢献の一対象ではない。彼らと共に、次なる成熟社会を創っていく」という夏目の決意が印象的だ。

 産業懇談会も新たな年度を迎えた。4月の例会は各グループとも大勢の参加で盛り上がりを見せている。平成30年度の年間活動テーマは「大転換期を超えて、日本が目指す道」〜モノづくり・コトづくり・人づくりで築く持続可能な未来〜だ。固定概念にとらわれることなく、新たな気持ち・大胆な発想で今年度もチャレンジを続けたい。

(片桐)