産業懇談会【メールマガジン 産懇宅配便】 第188号 2018.1.31 発行

メールマガジン■産懇宅配便■

平成30年1月度(第188号) 目次
【代表幹事年頭所感】
【名古屋いちばん物語】 No.105
【2月度産業懇談会のご案内】
【3月度産業懇談会のご案内】
【お知らせ】
【コラム】
コラム1 【保健師からの健康だより】 No.166
コラム2 【「ほん」のひとこと】 No.111
コラム3 【苗字随想】 No.188
【代表幹事年頭所感】

 新春を迎えて

 年始にあたり、謹んで新年のご挨拶を申し上げます。
会員の皆様には、穏やかに新年をお迎えになられたことと存じ、心よりお慶び申し上げます。旧年中は、同友会活動に多大なご尽力とご協力をいただき、厚く御礼申し上げます。

 昨年を振り返りますと、トランプ大統領政権をスタートさせた米国が自国第一主義へ舵を切りつつある一方、欧州は増大する移民・相次ぐテロなど広がる格差・宗教問題への対応に追われています。我が国を取り巻く東アジアでは、中国が党大会を通じて政治基盤を固めるとともに、一帯一路構想を推し進めております。また、北朝鮮の暴発リスクは高まる一方であります。
 国内に目を転じると、長期政権のもと比較的安定した経済運営が進められるものの、複雑化する国際情勢への対応、労働人口の減少・人手不足といった構造的課題は重く、特に若年層を中心に漠然とした将来への不安を抱えているといえます。

代表幹事 富田英之氏
代表幹事 富田英之

 このような情勢下、今年度の中部経済同友会では活動テーマを「時代の大転換期 持続可能な社会を目指し、自ら起こすムーブメント 〜Culture & Innovation〜」とし、明治維新・終戦に続く「第3の転換期」にある我が国において「変えずに受け継いでいくべきこと」と「変えていかねばならないこと」という切り口で、現状を整理し新たな発見・気づきを生むことを目的として活動を進めております。将来ある若者が希望を持てる持続可能な社会を目指すことは、特に今こそ喫緊の課題であり、何とかその糸口を掴むことができればと考え、日々会務に取り組んでおります。

 最後に、2018年が平和で実り多い1年になるとともに、中部経済同友会の益々の発展、そして会員の皆様のご健勝とご多幸を祈念して、念頭のご挨拶とさせていただきます。


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【名古屋いちばん物語】 No.105


テーマ: 『 「住吉の語り部となりたい」 シリーズ第82回 』

料亭つたも主人
深田正雄(栄ミナミ地域活性化協議会)

料亭営業の再開と蔦茂を支えた職人衆

 戦災直後、昭和21年に旅館業として再興した蔦茂旅館は復興と共に大繁盛、連日満館で芸者衆も復活して、ぼつぼつ風俗業としての料亭ビジネスを再びということで、昭和26年に鉄筋玄関ビル3階建て4室、本格数寄屋造り4室の2棟を新築し公安委員会宛6月に開業申請、7月3日警察本部保安課の認証が得られました。設計は新進気鋭の設計士。岩城誠一郎・誠作親子(写真1)、大工・加藤棟梁、屋根瓦・坪井利三郎、庭師・鬼頭、左官・村手、井戸水回り・福田ポンプ、表具・襖唐紙・櫻木、掛け軸・道具・前田寿仙堂・・・の職人軍団が形成され、当地で初の鉄筋コンクリート建物に数寄屋和室を建造し、話題となりました。(写真2)

住吉写真2
写真1:岩城誠作夫妻
住吉写真3
写真2:つたも普請を支えた職人衆、建造物見学ツアーにて
前列:左・経師屋櫻木さん、大工の棟梁加藤さん、
真中:二村正次番頭、鬼頭庭師
後列:2人目・祖父深田良矩、左官の村手さん、ほか
住吉写真1

料理部一階平面図

 当時は風俗営業の規制が厳しく、申請書には旅館とは玄関・建物を別途とすること、風俗を乱す絵画装飾を設けない、照明は一坪10燭光以上、浴室はダメ、就寝施設、押し入れ禁止、専用トイレもダメ、一部屋は3坪以上などなど、構造設備規制があり、会社定款目的に「料理業」を加えて開業にこぎつけております。

住吉写真4
写真3:料理業開業申請書 昭和26年
住吉写真5
写真4:料亭の玄関 昭和26年築
住吉写真5
写真5:巴の間・ビル3F

 旅館部と料理部は表向き別途営業形態ですが、内部では繋がっておりお風呂に入って浴衣に着替え宴席スタイルが好評でした。お部屋の写真から分かるように各部屋には洗面所、トイレ、押し入れも併設し、旅館としての利用も毎日あり、料亭の調理場として申請した地下一階は女中部屋に変わってしまいました。
 料亭としての粋と趣を大切に、中庭には焼け残った庭石、灯篭、手水、水琴窟を活用し、栗の木橋・廊下、天井には矢羽根網代を配し、両側には錦鯉の踊る池と滝が和の別世界へお客様を招き入れます。池を渡ると左には粋な「松竹梅」をシンボルとした小部屋からイタリア大理石の厠、左には茶室としても利用の多い「蔦」の間となります。柱は桜の皮付き丸太、粋な違い棚、杉栂の竿縁天井、縁側には掛込天井・市松網代から、手水から流れる井水は和の安らぎを感じさせます。
つたも部屋案内:http://tsutamo.com/room/

住吉写真7
写真6:蔦の間:違い棚と桜柱
住吉写真8
写真7:蔦の庭・手水、石庭

 そして、両側に庭を配する「桐」の間、真冬には滝の元から、17℃の水で湯気がもうもうとあがり錦鯉が群がっております。月見のウサギ石版は戦前からの庭石のようで、周辺には多くの種類の苔が群生しています。縁側天井の北山杉の絞り一本丸太は珍しい素材です。北側の庭には「つたも神社」が祀られ、真夏の手水鉢には冷気を求める小鳥たちが午後には水浴びする光景はなんともいえません。一階は平地の材木を使い海浜イメージを大切に欄間は青海波を、違い棚には大波を配しております。

住吉写真9
写真8:桐・床の間、波の欄間
住吉写真10
写真9:桐の南庭。滝と月見石版

 そして、松の廊下を階上にあがり菊・松の間は椅子テーブルを排除して、芸者遊びにはもってこいのお座敷と人気です。山のイメージで建築、欄間は富士山、山葵がテーマ、床柱は「槇の木・出節丸太」で建具の多くを今夏オープンの新店に移築するように手配しております。また、窓ガラスは昭和26年当時の手作り一枚硝子で波打ち模様が特色で、欄干には蔦の文様に階下の苔むす庭を配し、山里を感じさせております。

住吉写真11
写真10:松の床の間、柱は出節丸太
住吉写真12
写真11:菊・松の欄間:山葵

 祖父・深田良矩は普請道楽を楽しみながら、粋な建造物を支えた各職人衆を各地の名所旧跡、建物庭へ見学につれていったようです。ここに深田家族と縁の深い、もう一人のプロ職人「青木庄司氏」を紹介しておきます。青木氏は丸栄百貨店内で釣具店を開業、鮎・渓流釣りの名人として父や釣り仲間を現地指導されていました。オリジナル鮎の友釣り専用「ヤマ庄の移動式銅製鼻環仕掛け」は長良・揖斐川の急流向け針として大人気でした。青木名人と父たちが釣行した天然のアマゴや鮎は春先から盛夏の蔦茂話題の食材として、お客様からご用命いただく名物料理でした。幼き頃から正雄君も青木師匠に薫陶をうけ今では渓流釣り玄人の仲間入りをさせて頂いております。

建築誌「アーキテクト」2016 8月号 紹介記事:
http://tsutamo.com/images/first/ARCHITECT2016.pdf

住吉写真13
写真12:川釣名人・
青木庄司師匠と正雄君

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2月度産業懇談会のご案内
名古屋観光ホテルでの開催です。
グループ名 世話人 開催日時 テーマ・スピーカー 場所
火曜グループ

富田 茂
広井幹康
深田正雄

2月13日(火)
12:00〜14:00
株式会社きんでん中部支社
執行役員中部支社長 佐藤 守良氏
『あなたのまわりの意外なところにも
 〜省エネ・環境、いろんなところで結構頑張ってます〜』
18階
伊吹の間
水曜第1グループ

淺井博司
足立 誠
落合 肇

2月21日(水)
12:00〜14:00
名古屋大学 副理事(国際貢献担当)
大学院国際開発研究科 教授 岡田 亜弥氏
『グローバル化と産業人材育成の課題』

3階
桂の間

水曜第2グループ

片桐清志
大倉偉作
見祐次

2月14日(水)
12:00〜14:00
阪和興業株式会社 
理事 山本 孝氏
『鉄鋼業から見た中国』
18階
伊吹の間
木曜グループ

河村嘉男
倉藤金助
田憲三

2月1日(木)
12:00〜14:00
フリーライター 大竹 敏之氏
『「なごやじまん」のススメ
         ―街を元気にする“発掘力”と“発信力”』
3階
桂の間

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3月度産業懇談会のご案内
水曜第1グループ以外は、名古屋観光ホテルでの開催です。
グループ名 世話人 開催日時 テーマ・スピーカー 場所
火曜グループ

富田 茂
広井幹康
深田正雄

3月13日(火)
12:00〜14:00

名阪急配株式会社
取締役社長 村井 聖 氏
『目指せ!誰も知らないけど、
            いつも皆さんの傍にいる会社』

18階
伊吹の間
水曜第1グループ

淺井博司
足立 誠
落合 肇

3月20日(
11:00〜16:30

富士電機(株)三重工場 視察会
(ご参加いただく方には、詳細案内を送付いたします。)

名古屋
商工会議所
集合
(バスで
移動します)


水曜第2グループ

片桐清志
大倉偉作
見祐次

3月14日(水)
12:00〜14:00

株式会社NTTファシリティーズ東海
取締役 今井 秀哉 氏
『NTTファシリティーズの大規模災害における
                         取組について』

18階
伊吹の間
木曜グループ

河村嘉男
倉藤金助
田憲三

3月1日(木)
12:00〜14:00
管理栄養士 林 美千代 氏
『アンチエイジングと食生活』
18階
伊吹の間

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【お知らせ】

産業懇談会メールマガジン配信について

○メールマガジンの配信は無料です。配信をご希望でない方はお手数でも下記ボタンを押して、メールをご返信いただければ幸いです。ご意見などございましたら、そのメールにお書き下さい。

メールマガジンの配信を ○希望しない

○2016年6月24日より、本メールマガジンの運用ルールを明確にさせていただき、本会をご退会された方は自動的に配信を停止させていただくことといたしました。誠に勝手ながら、ご了承くださいますようお願いいたします。
なお本メールマガジンは、中部経済同友会ホームページ「産懇宅配便ポータルサイト」からすべてのバックナンバーをご覧いただけます。ご退会後はウェブ上で引き続き閲覧いただければ幸甚に存じます。

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【コラム】

コラム1 【保健師からの健康だより】 No.166
保健師からの健康だより

株式会社 スズケン
保健師 丹羽 香織

『 風邪ではないかも?長引く咳に注意! 』

 今回から奇数月にお便りを届けさせていただくことになりました。どうぞよろしくお願いいたします。
 新しい年が明けて早くも1か月が経とうとしています。暦の上ではそろそろ春の始まりですがまだ寒い日が続きそうですね。風邪症状が中々治らない‥という方もいるのではないでしょうか。
 実は咳が長引いている場合、思わぬ病気が隠れていることもあります。

 そもそもなぜ咳は出るのでしょうか。私たちの身体には異物の侵入を防ぐ様々なシステムが備わっていますが咳もその一つです。痰などの分泌物、菌やウイルスといった異物が気管支や肺の入り口などにある咳レセプターを刺激することで排出機能が働き、咳として出るというメカニズムです。

 咳は期間によって3つに分けられます。3週間未満の「急性の咳」は風邪やインフルエンザなどの感染症の可能性が高いですが、3週間以上の「遷延性の咳」および「慢性の咳」は感染症が治った後に残る咳や喘息のほか、咳とは関係がないように思われる病気が原因であることもあります。
 つまり“3週間”がただの風邪ではない可能性を疑うボーダーラインとも言えます。

長引く咳の原因は?

  • 感染症
    症状が治まった後も咳だけが残る場合があります。注意すべき感染症はインフルエンザ、肺炎などですが百日咳も感染報告が増えており「発作性の咳込みや咳のあとの嘔吐」があると疑いが強まります。
  • 喘息
    大人の場合「強い発作を伴わず喘鳴音や息苦しさはない咳」のみであったりします。成人して初めて発症する喘息は気がつきにくいこともあり、治療が遅れた為に悪化することもあります。
  • COPD(慢性閉塞性肺疾患)
    原因のほとんどは喫煙であるとされています。主な症状は「咳や痰」「身体を動かした時に息切れしやすい」「喘息の様な喘鳴音がする」などです。
  • 咳とは直接結びつきにくい思わぬ病気
    胃食道逆流症の場合、胃酸が逆流して咳レセプターを刺激した時もしくは胃酸が気道に入った時に咳が出ます。主な症状は「胸やけ」「酸っぱいものがこみあげてくる感覚」「食後の咳」などです。
    副鼻腔気管支症候群の場合、副鼻腔にたまった痰が下りてくることで気管が炎症を起こし咳が出ます。主な症状は「粘り気のある鼻水・痰」「鼻水が喉に張り付く感じ」「頭重感」「鼻づまり」などです。

 厚生労働省の調査によると、男性については「咳や痰」が「腰痛」「肩こり」に次いで多い自覚症状です。咳が長引いているな‥という方はぜひ医療機関でご相談されてくださいね。

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コラム2 【「ほん」のひとこと】 No.111
コラム【「ほん」のひとこと】

株式会社 正文館書店 取締役会長
谷口正明

『 歌舞伎の解剖図巻 』
辻和子(絵と文)・エクスナレッジ刊

 「子供の頃より歌舞伎好きの親の影響で劇場に通」い、「孝夫時代の十五代目片岡仁左衛門と十三代目の親子共演による『沼津』で、本格的に歌舞伎に開眼」したと言う著者の職業はイラストレーター。と、いうわけで・・・、この本のふんだんにある絵と文は、すべて辻和子一人の手になるものです。
 著者の、歌舞伎に対する想い入れがひしひしと伝わって来ます。
 「歌舞伎を観に行こう!」「早わかり! 歌舞伎のツボ」「歌舞伎役者とその芸脈」「押さえておきたい名作演目23選」の四つの章からなり、目玉は第二章。ここを読んでから観劇すれば、楽しみは何倍にも! 

 出版社のエクスナレッジの「解剖図鑑」シリーズには、「日本の神様」「日本の名城」や「ローカル鉄道」「ネコのキモチ」など20点余りがあります。

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コラム3 【苗字随想】 No.188
コラム【苗字随想】

片桐清志

「芸名」あれこれ(6)

 前回に続いて男優の芸名を、映画雑誌「キネマ旬報」が2000年に発表した「20世紀の映画スター」からピックアップしてみる。
 渥美 清と並んで9位の萬屋錦之介(ヨロズヤ・キンノスケ)の本名は小川錦一だ。歌舞伎役者時代は当初中村錦之助を名乗っていたが、小川家一門が「播磨屋」を抜け「萬屋」の屋号を使い始めてから「萬屋錦之介」に改名している。因みに屋号の「萬屋」は苗字としても実在する。ランキングは17000番台なのでかなり珍しい部類に入る。
 同じ9位には森繁久彌がいるが、こちらは本名だ。生まれたときの姓は菅沼だが、2歳の時に父が亡くなったため、母方の祖父森繁平三郎の家を継ぎ森繁姓になった。森繁姓も珍しく、13000番台だ。
 12位には大河内傅次郎(オオコウチ・デンジロウ)がいる。本名は大邊 男(オオベ・マスオ)だ。大河内は比較的多い苗字でランキングは1300番台だ。本名の大邊は極めて珍しい苗字で、90000番台だ。芸名の大河内は自身の誕生地、福岡県築上郡岩屋村字大河内(現在の豊前市大河内)から付けたものだ。
 14位の三國連太郎の本名は佐藤政雄だ。芸名は1951年のデビュー作「善魔」(木下恵介監督)から使っている。三國も比較的珍しく、10000番台だ。
 20位の嵐 寛寿郎(アラシ・カンジュウロウ:愛称アラカン)の本名は高橋照一(タカハシ・テルイチ)だ。18歳で舞台デビューし、この時の芸名は嵐 徳太郎だ。その後、嵐 和歌太夫(アラシ・ワカダユウ)、映画に転向してからは嵐 長三郎(アラシ・ナガサブロウ)と芸名を変えている。嵐 寛寿郎の芸名は昭和3年に独立しプロダクションを設立してから使っている。「嵐」姓は実在し、ランキングは3800番台なので時々見かける苗字だ。
 同じ順位の加山雄三の本名は池端直亮(イケハタ・ナオアキ)だ。両親とも俳優で父親は上原 謙、母親は小桜葉子だ。若大将の異名を持つため、大学生デビューの印象が強いが映画界入りは慶応大学卒業後の1960年だ。映画デビューの翌年にはシンガーソングライターとして歌手デビューもしている。ソングライターのとしてのペンネームは弾 厚作(ダン・コウサク)で、加山雄三が尊敬する團 伊玖磨と山田耕筰の二人をもじったものだ。
 マルチタレントの伊丹十三(イタミ・ジュウゾウ)の本名は池内義弘だ。映画デビューは大映に入った26歳の時で、芸名は映画監督だった父の芸名伊丹万作と小林一三に因んで伊丹一三(イタミ・イチゾウ)を永田雅一からもらっている。その後、マイナス(一)をプラス(十)に変えるという思いを込めて伊丹十三に改名した。

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【平成30年1月号編集後記】

 キツイ、汚い、危険は俗に3Kと呼ばれ、敬遠される職場の代名詞にもなっている。しかし、キツイ、汚い作業に希望者が殺到する事例を先日TVで目にした。東京の井の頭恩賜公園の池の「かいぼり」だ。
 「かいぼり」とは農業用ため池の管理のため、農閑期に水抜きをして池の生物を捕獲したり、護岸の補修や点検をすることだ。TVで紹介されたのは1月の寒空の下で「かいぼり」に参加したボランティアたちの活動だ。ヘドロ化した池底で泥んこになりながら親子連れや若者が魚を捕獲している。捕獲した魚がもらえるわけでもない。池の生態調査の協力に、寒さにも負けず、顔まで泥を付けて魚を追いかける姿は生き生きと輝いていた。強制されれば敬遠したくなる作業も、自ら進んでやれば「やり甲斐」となる好例だ。
 井の頭恩賜公園は1917年に日本初の郊外型公園として開園し、昨年開園100年を迎えた。公園のシンボルは江戸時代の水道「神田上水」の水源池だった井の頭池だ。しかし十年ほど前までは粗大ごみや外来生物の投げ入れ等のため、生態系が壊れ、水も濁っていた。これを何とかしようと2006年に「井の頭恩賜公園100年実行委員会」が結成された。委員会の構成メンバーは東京都や地元の武蔵野市、隣接の三鷹市の行政組織と、(公財)東京都公園協会等の公益法人、武蔵野商工会議所等の財界団体、三鷹ライオンズクラブや東京井の頭ロータリークラブ等の社会奉仕団体等の幅広い関係者が参加している。目的は都市化の中で失われつつある「武蔵野の風景」を再生し、後世に引き継ぐことだ。
 活動方法もユニークで、冒頭に紹介した「かいぼり」も生態系の調査は専門家のアドバイスをもとに市民参加型で行う方式をとり、リーダーとなる「井の頭かいぼり隊」は一般からボランティアを広く募集している。活動の理念が優れていることに加え、長期的展望もあり応募者が殺到した。専門家から研修を受けて実施した最初のかいぼりは2014年1月で、この時の調査では生物は在来種が絶滅寸前だった。捕獲した在来種は再び池に戻した。2回目の2015年11月には僅かながら在来種の復活が認められた。3回目となる今回の調査では絶滅危惧種の復活まで確認できたという。
 2017年5月1日には開園100周年記念式典も盛大に行われ、5月1日から7日までを「100歳記念ウィーク」として多彩なイベントが展開された。11月22日には天皇・皇后両陛下の行幸啓も実現した。こうした活動の詳細は委員会のホームページ(http://inokashirapark100.com/)でも紹介されている。
 環境問題は産業懇談会でも度々取り上げられるテーマだ。活動を実らせるためには、地域関係者の一体的な取り組みが大切であることを再認識させられた。本年も新たな気持ちでいろいろな取り組みをしたい。会員諸兄のご支援、ご協力をお願いする。

 新年恒例の産業懇談会「代表幹事講話」は、今年は1月29日(月)に開催された。産業懇談会会員のみならず、産業懇談会活動を体験していただくために、今年度新入会員にもご案内した効果もあり、約100名の参加になった。ビジターも交えたその後の「新年合同懇親会」も大いに盛り上がった。本誌でのご紹介が編集作業等の関係から2月号での掲載になることをお許しいただきたい。
 この場で予告編的に紹介すると、富田筆頭代表幹事のテーマである「大転換期に考える「伝統と革新」〜」を自ら実践した「挑戦」のお手本だった。案内状のタイトルを急遽変更し、「ナゴヤ発展の起点は万博にあり」というサプライズで始まった。しかもご自身の苗字「富田」をタモリに倣い「タトミ」として、「ブラタモリ」ならぬ「ブラタトミ」という演出だ。詳細は次号をお楽しみいただきたい。
 タトミ氏にはご多忙な中、オリジナリティあふれる演出でエンターテイナーとしての側面もご披露していただいたことに深く感謝する次第だ。

(片桐)