産業懇談会【メールマガジン 産懇宅配便】 第185号 2017.10.31 発行

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平成29年10月度(第185号) 目次
【29年9月度 産業懇談会(水曜第1G)模様】 9月27日(水) 12時00分〜14時00分
【29年10月度 4グループ合同懇親会模様】 10月3日(火) 17時30分〜20時00分
【名古屋いちばん物語】 No.102
【新会員自己紹介】
今井 秀哉氏

株式会社NTTファシリティーズ東海 取締役

【11月度産業懇談会のご案内】
【12月度産業懇談会のご案内】
【お知らせ】
【コラム】
コラム1 【保健師からの健康だより】 No.163
コラム2 【「ほん」のひとこと】 No.108
コラム3 【苗字随想】 No.185
【29年9月度 産業懇談会(水曜第1G)模様】

テーマ: 『 相続の現状と対策 〜遺言信託と個人信託について〜 』


日  時:平成29年9月27日(水) 12時00分〜14時00分
参加者:31名
スピーカー:

南出 政雄(みなみで まさお)
株式会社名古屋銀行 
個人営業部 部長
南出 政雄氏

榎本 直樹(えのもと なおき)
株式会社名古屋銀行 
個人営業部  相続相談プラザ 業務役
榎本 直樹氏

 今回は、株式会社名古屋銀行の榎本直樹氏に、「相続の現状と対策〜遺言信託と個人信託について〜」と題してご講演いただいた。相続・遺言・生前贈与についての基本的知識を学び、不安や悩みの解消の一助になった。要旨は以下のとおり。

1.相続の現状
 日本の年間死亡者数は現在130万人程度であるが、家庭裁判所への相続に関する相談件数は17万件で、さらに遺産分割の裁判件数は1.2万人と約1%を占め、遺産相続トラブルは年々増加の一歩をたどっている。こうした遺産トラブルを防ぐため、高齢者による家庭裁判所への自筆遺言の検認件数は年間1.7万人、公正証書遺言の作成件数も年間11万件と急増している。
 一方、相続トラブルが多い相続財産の規模は、最高裁判所の司法統計年報によると遺産総額5000万円以下が約3/4と出ているが、実際のところは相続財産規模が大きな富裕層にも遺産トラブルが多く、相続が「争続」になる理由としては、(1)民法の改正(戦前の家制度、家督相続制度から、戦後の均分相続へ)、(2)権利意識の変化、(3)実家の相続(相続財産の約5割超が不動産)等で、解決策としては遺言書を作成することにつきる。また納税資金の確保・相続税対策・「争続」対策についても生前に考えておくと良いだろう。

2.相続税の対策
 世界の主要各国と比較しても日本の相続税は高く、相続税の課税件数割合及び税収の推移を見ると、バブル期をピークに大きく減少していたが、ここ数年は税制改正の影響で増加傾向にある。
 生前相続対策には、(1)生前贈与、(2)教育資金贈与、(3)贈与税の配偶者控除、(4)不動産購入、(5)養子縁組、(6)親子で同居(小規模宅地等の特例適用)、(7)配偶者控除などがあるが、申告が条件となるものも有るため、節税にも円滑な相続を行なうためにも、遺言書を作成することをお勧めしたい。
 遺言書の種類には、公正証書遺言と自筆証書遺言の2種類があるが、相続時のトラブルを防止し遺言の内容を確実に実現するためには、公正証書遺言がより優れている。また個人信託も徐々に拡大している。


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【平成29年10月度 4グループ合同懇親会模様】

テーマ: 『 ジャズピアニスト西嶋雅子氏 ジャズコンサート 』

日  時:平成29年10月3日(火) 17時30分〜20時00分
場  所:ウェスティンナゴヤキャッスル 2階 天守の間
参加者:84名

出演者:ジャズピアニスト 西嶋 雅子氏、ボーカル Juju 菫氏、ベース 徳田 智史氏


 今年度の産業懇談会 4グループ合同懇親会では、中部地区を拠点に国内外でご活躍されているジャズピアニスト西嶋雅子さんをお招きし、ジャズコンサートを開催した。
 はじめに今回幹事を務めた木曜グループの河村世話人代表がご挨拶され、演奏がスタート。ボーカル、ベースを加えた息の合った3人による心地よい演奏に酔いしれ、素敵な夜となった。
 コンサート終了後には、富田代表幹事より花束贈呈、倉藤世話人より乾杯のご発声があり合同懇親会を開催。西嶋雅子さん、Juju菫さん、徳田智史さんにもテーブルに加わっていただき、和やかな雰囲気の中、会員同士の懇親が深められた。
 最後は、田世話人による中締め挨拶で会を終了し、産業懇談会の更なる発展を祈念して閉会となった。

4グループ合同懇親会1 4グループ合同懇親会2
4グループ合同懇親会3 4グループ合同懇親会4

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【名古屋いちばん物語】 No.102


テーマ: 『 「住吉の語り部となりたい」 シリーズ第79回 』

料亭つたも主人
深田正雄(栄ミナミ地域活性化協議会)

名古屋城のできる前の名古屋台地「那古野」

 徳川家康の清州越え以前の名古屋台地がどうなっていたか、あまり知られていません。
 慶長以前の那古野村長が保管していた地図が金城温古録にあり、旧町名の会の仲間、六田隆郎氏(通称・熱田三六)の研究を紹介しつつ約500年前の名古屋城周辺から大須地区のロマンの旅を楽しんでまいりましょう。
 http://www.fukkatu-nagoya.com/reikai/vol65.html

 織田信長が生まれ育ったといわれる現在の二の丸にある那古野城の主・今川佐馬助氏豊について、ウキペディアには下記のとおり記載されています。
 永正12年(1515年)、今川氏親は遠江国で尾張守護・斯波義達と戦い勝利し、斯波氏の威は衰えた。大永年間(1521年-1528年)に氏親は今川氏の一族である今川那古野氏の領地だった尾張国那古野の地に城を築き(那古野城、後の名古屋城)、末子の氏豊(官位・佐馬介)を今川那古野氏の養子として入れ城主とした。氏豊は斯波義達の娘を娶り斯波氏と姻戚の関係になった。那古野氏は明徳・応永年間に今川仲秋が尾張守護となった際、尾張に代官として封じられた今川氏の一族(仲秋の庶子とも)で、氏豊はその家の養子となったとされている。享禄5年(1532年)、勝幡城主・織田信秀の奇計によって兵を城に侵入され、城を落とされた。

住吉 地図1

 北半分の古図によれば、台地の北端、天神・山神、その西が宗形神社(現・本丸あたり)、1410年建立・甚目寺からの興西寺は城西に移転、911年建立といわれる「天王社」名古屋城築城にあたり、移転予定でしたが、普請奉行・佐久間政実が御籤占いで「不遷」の神託でそのままの場所に鎮座、明治9年陸軍鎮台創置にあたり東照宮とともに旧藩校明倫跡、現在の丸の内2丁目に移転、明治32年に「那古野神社」と改称したとのことです。
 八王子社・若宮八幡は700年ごろ創建、1532年信秀の城攻めで焼失後、1539年再建。秀吉公から鎮守として社領200石の寄進を受け、家康は1610年築城にあたり現在の栄3丁目に移転しております。1530年建立の西山浄土宗・誓願寺は築城にあたり久屋に移転、そして、戦後、テレビ塔北の丸の内3丁目移っています。磯貝邸には家康の四男、清須62万石藩主松平忠吉が鷹狩りの際、立ち寄ったという記録があるそうです。

住吉 地図2

 南半分の中心は亀嶽山萬松寺、1540年織田信秀が織田家菩提寺として建立、敷地55000坪七堂伽藍の構えで、現在の錦から丸の内2-3丁目地域の里山で泉に恵まれ、家康が幼少時に3年間人質として過ごしたといわれています。泥江神社は859年創建、小山と林の八丁四方の神領で万松寺建設や清須越し、戦災もあり現在地の袋町通り北(錦1-7)泥江縣神社となりましたが、氏子は広い地域にまたがっています。
 小袖懸けの松は名古屋中央大通連合発展会の由来版があり、藤原師長にまつわる恋慕物語と戦国の長者の娘のお話しが記されています。名古屋台地の東端に位置し、小袖川の流れは南下して、精進川(新堀川)に注いでいると思われます。
住吉1
「小袖懸けの松」の由来
説明版、久屋大通北公園テレビ塔周辺

 富士浅間社は現在の東区の富士神社、教育委員会の説明文によれば築城の折、西区浅間町に富士浅間社に遷座の後、灯篭の銘に明治43年に再建されたと記されています。

 名古屋山三郎邸、戦国の森忠政の家臣、山三郎の実家と思われます。山三郎は類稀な美貌の持ち主であり、蒲生氏郷も初見では少女と勘違いし、嫁に取るために身元を調べたという。遊芸に通じた伊達男でもあり数々の浮名を流し、ついには「山三郎と淀殿の子が豊臣秀頼ではないか」という噂まで流れたそうです。後に、美男で人気の傾奇者は、歌舞伎の祖として伝説化しております。最近デビューしたナゴヤカフェ歌舞伎・名古屋山三郎一座はお屋敷近くの円頓寺商店街で頑張っています。

住吉2
富士神社と築城石
説明文 名古屋教育委員会

 そして、名古屋台地の水源、萬松寺の東西の泉を水源とする紫川は現在の中日病院(標高14m)から南下し、蔦茂界隈の支流の湧き水と合流。標高差9m、流域2.5kmの清流は、住吉から西に白川公園北を流れておりました。そして、伏見通りを南下して若宮通りを西に洲崎神社の南(標高5m)洲崎橋北で堀川へ暗渠として現在も地下に流れております。もう一つの支流は現在の日銀周辺(標高11m)江戸の頃は浄願寺・浄教寺を源とし、南下して商工会議所南(標高7m)の中消防署あたりで本流と合流しております。
 洲崎神社には、太古この地は入江で洲崎になり、地神(石神)が祀られていた。築城以前は現在の栄一丁目全域が社地であった。築城後、社地には武家屋敷が建てられ、境内に堀川が掘削されるなど大きく縮小したようです。
 今でこそ平らな土地ですが、かつては山あり谷ありの自然豊かな栗やドングリ林に恵まれ、藤の花が散った水面が美しく紫の川と名付けたという伝えもあります。

住吉3
尾張名所図会 カラー版、
堀川流域の洲崎神社・港と八角堂、
右が紫川河口

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【新会員自己紹介】

今井 秀哉氏
水曜第2グループ

今井 秀哉(いまい しゅうさい)
株式会社NTTファシリティーズ東海
取締役

【株式会社NTTファシリティーズ東海】
〒456-0016 名古屋市熱田区五本松町7番30号 熱田メディアウイング
TEL:052-683-5840
URL:http://www.ntt-f.co.jp/

 株式会社NTTファシリティーズ東海の今井秀哉と申します。
 このたび、中北の後任として、産業懇談会 水曜第2グループに入会させて頂きました。どうぞ宜しくお願い申し上げます。

 弊社は、NTTグループの一員として全国のNTTビルの建物の設計から建設、維持管理を一元的に実施し、また電気通信100年の歴史の中で培ったノウハウで省エネやBCP、再生可能エネルギーの拡大を図り、安心、安全、品質向上をモットーとして社会に貢献をすることを目標に幅広く事業を拡大しております。

 私は、生まれが稲沢市でありますが、これまで東海管内の異動は勿論のこと、東京・名古屋間を何度も往復し、13年前に名古屋に着任しました。

 趣味は、全国のお城巡りですが、古地図を見ながら石垣やお堀を散策し、時間を忘れるほどに夢中になります。8年ほど前から地域貢献として名古屋城の観光ガイドボランティアの活動をしておりますが、来城者の方に名古屋城の素晴らしさを発信し、楽しい観光旅行の思い出作りのひと役に立てればと思っております。

 このたび、歴史のある中部経済同友会への入会にあたり、様々な業種の方とお付き合いを深め、公私に渡って成長できるように努力していきたいと思っております。

 今後ともご指導、ご鞭撻を賜りますように宜しくお願い申し上げます。

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11月度産業懇談会のご案内
水曜第1グループ以外は、名古屋観光ホテルでの開催です。
グループ名 世話人 開催日時 テーマ・スピーカー 場所
火曜グループ

富田 茂
広井幹康
深田正雄

11月14日(火)
12:00〜14:00
竹田印刷株式会社
専務取締役経営統括本部長 井川 誠氏
『竹田印刷93年と自分の64年;そしてNOW』
18階
伊吹の間
水曜第1グループ

淺井博司
足立 誠
落合 肇

11月15日(水)
10:00〜17:30
株式会社ジェイテクト
伊賀試験場(テストコース) 見学会

名古屋
商工会議所
集合
(バスで移動します)

水曜第2グループ

片桐清志
大倉偉作
見祐次

11月8日(水)
12:00〜14:00
サンデン・リテールシステム株式会社
東海・北陸支社長 井上 真純氏
『e-mesh moderno
  〜クラウドベースの温湿度モニターサービス〜』
18階
伊吹の間
木曜グループ

河村嘉男
倉藤金助
田憲三

11月2日(木)
12:00〜14:00
有限会社三渓 代表取締役 下村孝爾氏
元 マルサンアイ(株)代表取締役
全国味噌協同組合連合会 元会長 下村 釟爾氏
『お茶に観る四季観』(ご講演・茶会)
*定員30名程度(定員超過の場合は当グループの方を優先とさせていただきます)
*ご参加の方には後日実費を請求させていただきます。
18階
伊吹の間
御嶽の間
<ご参考>
産業懇談会水曜第1グループ (株)ジェイテクト 伊賀試験場(テストコース)見学会

日時:平成29年11月15日(水) 10:00〜17:30(予定)
見学先:株式会社ジェイテクト 伊賀試験場
     三重県伊賀市丸柱2254-1 TEL:0595-42-9020
スケジュール:
10:00
10:00〜12:00

名古屋商工会議所 正面玄関 集合・出発(バスにて移動)
名古屋都市高速・東名阪自動車道(名張経由)で伊賀市内へ

12:00〜13:00 昼食(元祖伊賀肉「森辻」)
13:00〜13:30 移動
13:30
13:30〜14:00
14:00〜15:00
15:00〜15:30
株式会社ジェイテクト 伊賀試験場 到着、視察開始
・概要説明
・試験車両試乗
・質疑応答、記念写真撮影
(※天候等により、内容が変更となる可能性があります)
15:30 現地出発(バスにて移動)
17:30 名古屋商工会議所 到着・解散

(道路事情等によりスケジュールが変更になる場合がございます。)

定員:30名程度(申込多数の場合は水曜第1グループの方を優先させていただきます。)
参加費:バス代等、実費をご請求させていただきます。(費用概算5,000〜6,000円程度)
備考:ご参加いただく方には別途、詳細案内を送付いたします。

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12月度産業懇談会のご案内
グループ名 世話人 開催日時 会場
火曜グループ

富田 茂
広井幹康
深田正雄

12月12日(火)
18:00〜20:00
料亭蔦茂
電話:052-241-3666
名古屋市中区栄3-9-27
水曜第1グループ

淺井博司
足立 誠
落合 肇

12月6日(水)
18:00〜20:00

尾州
電話:052-583-8333
名古屋市中村区名駅南1-16-10

水曜第2グループ

片桐清志
大倉偉作
見祐次

12月13日(水)
18:00〜20:00
松山閣 松山
電話:052-527-8841
名古屋市中村区名駅4-7-1
(ミッドランドスクエア4階)
木曜グループ

河村嘉男
倉藤金助
田憲三

12月7日(木)
18:00〜20:00
札幌かに本家 栄中央店
電話:052-263-1161
名古屋市中区栄3-8-28
(プリンセス大通り・丸栄南)

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【お知らせ】

産業懇談会メールマガジン配信について

○メールマガジンの配信は無料です。配信をご希望でない方はお手数でも下記ボタンを押して、メールをご返信いただければ幸いです。ご意見などございましたら、そのメールにお書き下さい。

メールマガジンの配信を ○希望しない

○2016年6月24日より、本メールマガジンの運用ルールを明確にさせていただき、本会をご退会された方は自動的に配信を停止させていただくことといたしました。誠に勝手ながら、ご了承くださいますようお願いいたします。
なお本メールマガジンは、中部経済同友会ホームページ「産懇宅配便ポータルサイト」からすべてのバックナンバーをご覧いただけます。ご退会後はウェブ上で引き続き閲覧いただければ幸甚に存じます。

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【コラム】

コラム1 【保健師からの健康だより】 No.163
保健師からの健康だより

株式会社 スズケン
保健師 稲垣 静香

『 正しく恐れる 』

 毎年11月2〜8日はレントゲン博士によるX線発見を記念し、「レントゲン週間」と制定されています。安心して放射線診療を受けられるよう、正しい知識を伝えることを目的としています。

 放射線は五感で感じないので、わかりにくくて難しいと思われるかもしれません。放射線とは、エネルギーが高い光や小さな小さな粒のことをいいます。私たちは毎日の暮らしの中でいろいろな放射線を受けていて、宇宙・大地・食品などから年間2.1mSvの放射線を浴びています。胸部のレントゲンではだいたい1回0.3mGyで、これは東京からニューヨークまで飛行機で往復すると浴びる0.4mSvよりも少ない放射線量です。(1Gy=0.8Sv)

 放射線を浴びても、一定量以下では影響はおこりません。それぞれの組織や臓器には限度量があり、その量を超えると影響の出る人が増え始めます。身体の部位によってその影響は異なり、例えば、生殖腺が被ばくすると不妊になったり、骨髄が被ばくすると造血機能が低下したりします。一気にどーんと被ばくすると影響が起こり始めますが、同じ量でも長い時間をかけてゆっくり被ばくするとリスクは低下します。

 被ばくの量が多くなると影響が起きやすくなりますが、100〜200mSv以下のように少ない場合には、放射線によってがんになったかどうかはわかりません。ちなみに100〜200mSvの被ばくによってがんになるリスクは、野菜不足でがんになるリスクと同じくらいです。肥満や塩分の取りすぎ、大量飲酒、喫煙の影響のほうが、がんになるリスクがもっと高くなります。

 東日本大震災に伴う原子力発電所事故という大変な惨事も記憶に新しく、放射線という言葉に敏感になっている方も多いと思います。しかし、放射線はがんの検査や治療など、現在の医療には欠かせません。放射線はすべて怖いと思い込むのではなく、正しい知識を身に付け「正しく恐れて、危険要因を減らすこと」が大切です。

「ものをこわがらな過ぎたり、こわがり過ぎたりするのはやさしいが、正当にこわがることはなかなかむつかしい」寺田寅彦(物理学者)

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コラム2 【「ほん」のひとこと】 No.108
コラム【「ほん」のひとこと】

株式会社 正文館書店 取締役会長
谷口正明

鶴八鶴次郎
川口松太郎著・光文社時代小説文庫

 直木賞は、1935年(昭和10年)から始まりましたが、現在のように受賞者と作品名が併記されるようになったのは第11回からで、第1回受賞者の川口松太郎は、表題作のほかにこの文庫に収録されている「風流深川唄」「明治一代女」などのいわゆる「明治物」を評価されての受賞だったそうです。
 解説を担当した直木賞研究家の川口則弘氏は、「筋立てや設定の妙、張りのある人物造形など」を評価していますが、私は文章のテンポの良さに魅力を感じ、3作を一気に読み通しました。
 この3作が文庫の1冊にまとまるのは1979年の中公文庫以来のことだそうで、光文社の心意気を感じます。

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コラム3 【苗字随想】 No.185
コラム【苗字随想】

片桐清志

「芸名」あれこれ(3)

 今回は女優の芸名に注目してみる。映画雑誌「キネマ旬報」が2000年に発表した「20世紀の映画スター」からランダムにピックアップしてみる。
 第1位に選ばれたのは一昨年亡くなった永遠の処女、原 節子で本名は會田昌江(アイダ・マサエ)だ。トップに選ばれた要因は出演作品に名作が多く女優としての高い評価に加え、43歳で女優引退後は隠遁生活だったためミステリーさも手伝っていそうだ。原は本名だが節子は1935年、15歳のデビュー作「ためらふ勿れ若人よ」の役名を芸名にしている。
 第2位は吉永小百合だ。彼女の場合は本名でデビューしている。現在は結婚し岡田となっていることはご存じのとおりだ。2位になったのはヒット作が多いことに加え、今も現役として多方面で活躍しているためだろう。
 第3位は京 マチ子で、本名は矢野元子だ。大阪松竹少女歌劇団から映画入りしている。大映の看板女優であり、主演した「雨月物語」「羅生門」「地獄門」が海外の映画祭で次々に受賞していて「グランプリ女優」とも称される。
 第4位は高峰秀子で、デビュー時の本名は平山秀子、後に松山善三と結婚し松山秀子となる。芸名は養母(父の妹)が女活弁士時代に使っていた芸名をデビュー時(5歳の子役)に踏襲している。
 第5位は田中絹代で本名だ。彼女は少女時代に筑前琵琶を習っており、宮崎錦城の門下で10歳の時に田中錦華(タナカ・キンカ)の名をもらっている。錦城の下で琵琶少女歌劇の団員として新天地の舞台に立っている。このころから映画に惹かれ女優に転向した。
 第6位は山田五十鈴で、本名は山田美津だ。芸名の五十鈴は伊勢神宮の五十鈴川から拝借している。子供時代から常磐津、長唄、清元、日本舞踊を習い始め、10歳で名取になっている。13歳で映画デビューし、瞬く間に日活時代劇のトップ女優になった。戦後は舞台女優としても活躍し、2000年に女優として初めての文化勲章を受章している。
 第7位は夏目雅子で、本名はデビュー時が小達(オダテ)雅子、後に伊集院静と結婚し西山雅子となる。小達姓は珍しい姓で須崎のホームページでは2万1千番台だ。因みにプロゴルファーの小達敏昭は彼女の弟だ。デビュー当初は本名のままだったが、芸名の夏目はカネボウのキャンペーンガールで出た「クッキーフェイス」のCMが注目を浴び、夏注目の目玉商品ということから「夏目」となった。
 第8位以下は次回のお楽しみに。

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【平成29年10月号編集後記】

 実りの秋、収穫の秋だ。先日TVで奥出雲の「仁田米」作りが紹介されていた。コメのブランド化が進み、各地でおいしいお米作りの取り組みが進んでいるが、「東の魚沼、西の仁田米」と言われるほど仁田米もおいしい。
 今、その仁田米作りが「世界農業遺産」への登録を目指しているという。「世界農業遺産」はユネスコの世界遺産に比べると知名度は劣るが、農林水産省のホームページによれば現在17カ国38地域が認定され、日本では8地域が認定されている。認定機関はFAO(国連食糧農業機関)で、日本の第一号は「トキと共生する佐渡の里山」と「能登の里山里海」で、平成23年6月に認定されている。当地区では掛川周辺の「静岡の茶草場農法」が平成25年に、長良川上中流地域の「清流長良川の鮎〜里川における人と鮎のつながり〜」が平成27年に認定されている。
 認定のポイントは土地利用に関する生物多様性の視点と伝統的農業、農村文化の継承だ。奥出雲では高齢化に苦しみながらも美しい棚田を維持し、無農薬による米作りを行っている。無農薬にすることで、田にドジョウやタガメ、カエルやカメが棲みつき、稲との共生環境が出来上がるという。根底にある思想は自然への敬意、感謝の気持ちだ。神話の里の考え方は農業にも生かされている。奥出雲は地形も気候もコメ作りの環境に恵まれているとは言えないが、逆に自然とうまく折り合いを付けて、おいしいお米作りを実現している。
 以前、奥出雲を訪問した時は「たたら製鉄」を中心に見学したが、豊かで美しい自然とおいしい食事、あたたかなおもてなしに感動した。田の神、水の神、山の神等々、日本人は日常の生活の中にたくさんの「神様」を見出した。神様とは自然の恵みに対する「感謝」の気持ちをいろんな場面で具体化したものだろう。感謝の気持ちは一つではない。八百万の神々を戴く日本の自然を次世代に残す取り組みを応援したいものだ。

(片桐)